【2020春改正】品川始発は「のぞみ79号」に!のぞみ12本ダイヤで「号数」が変わる

東京駅16番線に停車中の「のぞみ135号」姫路行き(2020/2/5)

東京駅16番線に停車中の東京20:50発「のぞみ135号」姫路行き(2020/2/5)
ちなみに改正後は東京20:51発「のぞみ115号」姫路行きとなる

東海道新幹線は2020年3月、700系引退によりN700系A編成に統一となり、平均所要時間短縮や「のぞみ12本ダイヤ」を実現する。東京駅の発着可能間隔は平均3分20秒から3分に短縮され、新規臨時スジが設定されることで今まで以上の増発が可能となる。

その前提の上で、東海道・山陽新幹線の新ダイヤ自体は概ね今までの運転時刻に近づけたものとはなっている一方、時刻表等を見ると似たような時刻の列車でも「号数」が大きく変わる列車が多いことに気づく。 

本記事では、東海道・山陽新幹線の新しい号数の付番ルールをまとめる。また、具体的に「東京8時台発」や「特徴的な列車」の号数にも注目した上で、所要時間の変化(短縮した/しない等)についても軽く触れたい。

参考資料について

新ダイヤについては、まず昨年末の各種プレスリリースの時点で要点が公表された他、JR九州発表の資料では「博多を通る定期列車」の時刻が先行公開された。記事タイトルにもした「品川6:00始発・のぞみ99号が、改正後はのぞみ79号になる」などの情報は実はこの時点で明らかになっており、また各種プレス改正を見ると前後ほぼ同時刻を走る列車でも号数が変更になると分かるものがあった。

東海道・山陽・九州新幹線ダイヤ改正後の時刻全体はJR時刻表JTB時刻表2月号の時点で先行掲載され、もちろん先日発売された3月号にも掲載されている他、また一部の経路検索サイト・アプリ(無料で利用できるものを含む)では既に検索できる状態だ。あるいは「EX予約」「えきねっと」等の予約サイトでは1ヶ月(と1週間)前から新ダイヤでの予約ができる状態となっていた。

号数付番ルールの概要

さて、本題である「号数」の話題に入りたい。

今回の改正によって、ひかり・こだま号や途中駅発着ののぞみ号、臨時のぞみ号の付番は全体的に再整理されることになった。一方で号数が変わらない列車もあり、東京-博多間の定期のぞみ号、及び東京-新大阪間の(ほぼ)定期のぞみ号などは変更されない。

早速、のぞみ・ひかり・こだまの号数付番ルールの変化を一覧表にしてみた。(運転区間の表記は一部特殊例を省略した他、今後のダイヤ修正や臨時列車の設定により付番の例外が発生する場合もあるのでご了承いただきたい。)

    (主な)運転区間 改正前 改正後
のぞみ 定期 東京-博多 〜60台
のぞみ 定期 東京-名古屋 90台前半 70台前半
のぞみ 定期 品川・名古屋-博多 90台後半 70台後半
のぞみ 定期 東京-岡山・広島 100〜130台 80〜110台
のぞみ 臨時 東京-岡山・広島・博多 150〜190台 130〜180台
のぞみ ほぼ定期 東京-新大阪 200〜260台
のぞみ 臨時 東京-新大阪 290〜430台 270〜470台
ひかり 一部臨時 新大阪-博多 440台 590台
ひかり 定期 東京-岡山・広島 460〜480台 500〜520台
ひかり 定期 新横浜・名古屋-広島・博多 490台 530台
ひかり 一部臨時 東京-名古屋・新大阪 500〜530台 630〜660台
こだま 定期 東京-名古屋・新大阪 630〜680台 700〜750台
こだま 定期 三島・静岡・名古屋-新大阪 690台 760台
こだま 定期 東京-静岡・浜松 700台 800〜810台
こだま 一部臨時 東京-三島 800〜810台
こだま 定期 新大阪・岡山-広島・博多 720〜770台 830〜880台
こだま 定期

広島-博多

820台 720〜780台
こだま 定期 新山口・小倉-博多 850〜860台

小さい数字から順に「定期のぞみ→臨時のぞみ→ひかり→こだま」という大まかなルールこそ変わらないものの、数十〜百数十の細かな動きがある。

簡単な考察としては、とにかく「東京⇔新大阪・山陽新幹線」の臨時のぞみ号を多数設定できるようにしたい都合上、それ以外の号数の余計なスペースを極力詰めたかったのではないか、というのが読み取れる。

品川始発や東京-広島間などを走る定期のぞみ号は「99号」「101号〜」という字面自体にもそこそこ意味が見出せるものであったが、単純に全体的に「現在の号数-20」されてしまうというのが寂しくも面白い。東京-広島間の定期のぞみ号は、2桁の号数も3桁の号数も両方存在することになる。

臨時のぞみ号は数字の域だけ見ても本数が増えていることがよく分かる。特に東京-新大阪間の臨時のぞみは、同じ時間帯でも元の号数より小さくなる列車もあれば大きくなる列車もある。下りの場合は東京10:53発→改正後10:54発がちょうど同じ「のぞみ327号」で、概ねこの時間帯が境目になるようだ。

また、ひかり号・こだま号はより大きく数字が変化しており、どちらかと言えば今より号数が大きくなるものがほとんどである。ひかり号は東海道・山陽直通のものは+40(百の位4→5)だが、東海道新幹線内で完結するひかり号は+130(百の位5→6)、などと変化度合いも様々である。「ひかり505号」が「東京8:33発新大阪行き」から「東京9:03発岡山行き」に変わるなど、ダイヤ改正またぎで若干注意を要する部分もある。こだま号の場合には、東京-静岡・浜松間と東京-三島間が同じルールに分類される、といったような変化もある。

なお今回は表から省略したが、九州新幹線(山陽直通を含む)のつばめ号(300〜350台)、さくら号(主に九州内400・新大阪直通540〜580台、一部臨時300台)、みずほ号(600〜610台)の付番ルールは、全体的にはほぼ同様である。一部、広島-鹿児島中央間の定期さくら号が451・458号→405・410号と変化している他、みずほ号の毎日運転の臨時列車解消やその他増発等の影響で、同時間帯の運転でも号数が変化した列車はある。

東京下り8時台発の時刻・列車名を改正前後で比較

対応表だけだと具体的なイメージが湧きにくいので、例として東京下り8時台発車の列車名と時刻、行先を比較してみたい。(下線は定期列車を示す。)

改正前(〜2020/3/13) 改正後(2020/3/14〜)
 列車名 東京発 終着 列車名 東京発 終着
のぞみ207号 8:00 新大阪10:33 のぞみ207号 8:00 新大阪10:30
ひかり463号 8:03 岡山12:19 ひかり503号 8:03 岡山12:19
のぞみ15号 8:10 博多13:07 のぞみ15号 8:09 博多13:06
のぞみ305号 8:13 新大阪10:46 のぞみ293号 8:12 新大阪10:39
のぞみ157号 8:13 博多13:24 のぞみ139号 8:12 岡山11:29
博多13:14
設定なし(改正後増発) のぞみ295号 8:18 新大阪10:45
のぞみ209号 8:20 新大阪10:50 のぞみ209号 8:21 新大阪10:48
改正後は一部日程で山陽直通 のぞみ141号 8:21 広島12:16
のぞみ307号 8:23 新大阪10:56 のぞみ297号 8:24 新大阪10:54
こだま639号 8:26 名古屋11:09 こだま709号 8:27 名古屋11:06
のぞみ17号 8:30 博多13:33 のぞみ17号 8:30 博多13:30
ひかり505号 8:33 新大阪11:26 ひかり635号 8:33 新大阪11:27
設定なし(改正後増発) のぞみ299号 8:39 新大阪11:06
のぞみ211号 8:40 新大阪11:10 のぞみ211号 8:42 新大阪11:12
のぞみ159号 8:40 広島12:38
博多13:50
のぞみ143号 8:42 広島12:37
博多13:47
のぞみ309号 8:47 新大阪11:20 のぞみ301号 8:48 新大阪11:15
のぞみ103号 8:50 広島12:50 のぞみ83号 8:51 広島12:48
のぞみ311号 8:53 新大阪11:30 のぞみ303号 8:54 新大阪11:24
こだま641号 8:56 新大阪12:53 こだま711号 8:57 新大阪12:51

※改正前の「のぞみ209号」は休日運休。時間帯によって20分発は定期列車でないこともあった。改正後の「のぞみ209号」「のぞみ141号」は一部休日を除いてほぼ毎日どちらかが運転。

 

発車時刻は±2分程度の動きがあるが、「のぞみ207号」「のぞみ15号」「のぞみ209号」「のぞみ17号」「のぞみ211号」は同じ号数の列車としてほぼ同じ時間を走る列車となっている。一方で広島行きの「のぞみ103号」は数字が-20され「のぞみ83号」に、臨時のぞみ号は(この時間帯は)全体的に小さい数字に、ひかり号は岡山行きが+40・新大阪行きが+130、こだま号は+70となっている。

 

なお新旧時刻も掲載したので所要時間の変化についても簡単に言及しておきたい。

のぞみ号は乗車時間が2〜5分程度短縮される列車が多く、こだま号も東京発が1分遅いにも関わらず終着駅には2〜3分早く到着する(待避駅・本数変更の都合で今より時間がかかる区間もある)。速度向上の一方、名古屋や新大阪など西に行くほど、下りの場合は特に「今までよりも発車時刻が早まった」ような列車も多い。

一方ひかり号は、終点までの乗車時間が同じかむしろ伸びている場合もある。新大阪や名古屋までは若干速くなってもいるのだが、各駅に停車する区間で待避本数が増えるなどの影響を受けていると思われる。毎時03分の岡山行きは京都で、毎時33分の新大阪行きは名古屋で、それぞれ臨時のぞみ号待避用の長時間停車があるのも特徴だ。

また、定期のぞみ号の中でも毎時(10→)09分発の列車は、元から高速で運転されていたためか、所要時間自体はほぼ変化せず全体的に約1分前倒しなっている。

特徴的な列車

東海道・山陽新幹線には、始発終電付近を中心に特徴的な列車がある。それらの列車も多くは「号数」が変わり時刻も微調整が入る。

挙げればキリがないが、ここではその一部について、号数や所要時間の変化を見ておきたい。

新横浜6:00始発 ひかり493号→ひかり533号

    始発 終着 備考
改正前 ひかり493号 新横浜6:00 広島9:56 西明石でのぞみ99・1号待避
改正後 ひかり533号 新横浜6:00 広島9:54

【推測】
西明石でのぞみ79号、
姫路でのぞみ1号を待避

首都圏から関西圏(姫路)まで1日で最も早く到達する新横浜6:00始発のひかり号は、改正後も「ひかり533号」として引き続き設定される。

停車駅も変わらず、小田原や静岡、西明石、福山に停車する。変更点としては、今まで西明石で後続ののぞみ号を2本待避していたが、改正後は姫路にも待避時間が設けられており、西明石と分けて1本ずつ待避するようになると推測できる。最終的に広島には今までより2分早く到着する。

品川6:00始発 のぞみ99号→のぞみ79号 

    始発 終着 備考
改正前 のぞみ99号 品川6:00 博多10:46 広島着は9:41
改正後 のぞみ79号 品川6:00 博多10:46 広島着は9:38

都心から岡山以遠へ最速で到達するのぞみ号、品川6:00始発の便も引き続き設定される。2007年のN700系運転開始と共に設定されて以来「のぞみ99号」として運転されて来たが、今春から「のぞみ79号」に改められた。

停車駅(最低限+徳山)は変わらないが、追い越しパターン等の調整によるものか、途中広島には今までより3分早く到着するようになる。ただし博多到着時刻は変わらないようだ。

京都-広島間各駅停車 ひかり481・460号→ひかり521・500号

毎時1本走る東京-岡山間のひかり号は静岡県内2〜3駅に停車した上で京都-岡山間は各駅停車になるが、1日上下1本ずつは広島発着に延長されている。それらの列車も特に停車駅は変更されることなく、号数を+40した上で設定される。

    始発 終着 備考
改正前 ひかり481号 東京17:03 広島22:15 京都19:45着19:46発、岡山21:09着
改正後 ひかり521号 東京17:03 広島22:19 京都19:37着19:43発、岡山21:08着

東京を夕方に出発し広島まで5時間以上かかるひかり号、改正後は「ひかり521号」である。

東京は同じ17:03発だが、京都までは8分短縮される。しかし京都でのぞみ号待避のため6分停車し、岡山着は1分差、そして終点広島には今までより4分遅く到着する。

    始発 終着 備考
改正前 ひかり460号 広島6:13 東京11:40 岡山7:25着7:33発、京都8:57着8:59発
改正後 ひかり500号 広島6:14 東京11:42 岡山7:20着7:33発、京都9:02着9:08発

「ひかり500号」のキリ番は、広島始発のひかり号に受け継がれる。広島1分遅発・岡山同時刻発・東京2分遅着と全体で見ると大きな時刻変更は無いようにも見える。しかしこちらも京都待避時間が確保されるなど、区間によっては時刻が大きく変わる列車となる。

通過駅はたった4駅・最後まで700系使用 ひかり441号→ひかり591号

    始発 終着 備考
改正前 ひかり441号 新大阪6:03 博多9:23 700系16両
改正後 ひかり591号 新大阪6:06 博多9:19 N700系16両

新倉敷新尾道・東広島・厚狭のみを通過し、最後まで700系16両編成が定期運用に就いている「ひかり441号」だが、改正後はN700系に改められた上で「ひかり591号」として運転される。なお、新大阪から博多までの所要時間は7分短縮されている。

また似たような列車として、上り朝の岡山行き「ひかり440号」、上り朝に3駅しか通過しない「ひかり442号」、夜に走る5駅のみ通過の「ひかり443号」、夜の上りで比較的速達(かつダイヤ改正3日前の3/11までは700系)な「ひかり444号」も、それぞれ号数が+150された「ひかり590号〜ひかり594号」として残る。

名古屋行き最終 ひかり539号→ひかり669号

    始発 終着 備考
改正前 ひかり539号 東京22:00 名古屋23:49 浜松・豊橋・名古屋への最終列車
改正後 ひかり669号 東京22:03 名古屋23:49 浜松・豊橋・名古屋への最終列車

現ダイヤにおける名古屋行き最終列車は東京22:00発・静岡浜松豊橋に停車し名古屋23:49着の「ひかり539号」であった。プレスリリースで後述の「臨時のぞみ71号」が同じ東京22:00発で設定されると表記されたことからこの列車が無くなってしまうのではないかという不安の声もあったが、無事「ひかり669号」として東京22:03発で設定されることになった。速度も向上し、名古屋到着は変わらず23:49である。

東京22:00発・臨時のぞみ71号設定
    始発 終着 備考
改正前 設定なし
改正後 のぞみ71号 東京22:00 名古屋23:34 主に金・日曜に運転

新たにダイヤのキーとなる列車が誕生した。それが「のぞみ71号」である。東京22:00発・名古屋23:34着で、主に需要の高まる金曜・日曜に運転される。先の「ひかり669号」と合わせ、東京をなるべく遅く出発したい名古屋までの乗客の大事な足となる。

上り西明石・姫路・岡山始発 のぞみ100・102・104号→のぞみ80・82・84号

    始発 終着 備考
改正前 のぞみ100号 西明石6:00 東京8:53  
改正前 のぞみ102号 姫路6:00 東京9:03  
改正前 のぞみ104号 岡山6:00 東京9:23  
改正後 のぞみ80号 西明石6:01 東京8:51  
改正後 のぞみ82号 姫路6:00 東京9:00  
改正後 のぞみ84号 岡山6:01 東京9:18  

上りのぞみ3桁号の初っ端は西明石・姫路・岡山6:00始発という独特な設定の列車であった。改正後は号数を-20してのぞみ80・82・84号として設定される。ただし西明石始発の80号・岡山始発の84号は速度向上や具体的なスジの兼ね合いもあってか6:01発となる。東京着は3列車共に2〜5分前倒しとなり、山陽方面から東京への最速到達時刻が早まっていくことになる。

なお、広島6:03始発(のぞみ108→88号)、博多6:15始発(のぞみ2号)の始発および東京着時刻はダイヤ改正前後で変化が無い模様である。

号数も時刻も変わらず!上り最終東京行き のぞみ64号

    始発 終着 備考
改正前 のぞみ64号 博多18:59 東京23:45  
改正後 のぞみ64号 博多18:59 東京23:45  

最後に、号数も時刻もほぼ変わらない例を一つ。東京行き最終・最速列車として名高い「のぞみ64号」は、既に高速化されていることから、これ以上の時間短縮とはならないようである。

なお厳密には、新大阪・京都の発車時刻のみ1分遅くなった(新大阪21:23→21:24発、京都21:37→21:38発)。一応、首都圏からの関西滞在可能な限界時間が1分伸びたとも言えるのだろうか。

まとめ

本記事では主に「号数」に注目してダイヤ改正前後の変化を見てきた。一部の定期のぞみ号や九州新幹線の多くを除いて大幅に「号数」が変化する。ただし、対応が当てはめやすいという程度には今までのダイヤの概形は引き継がれているとも言えよう。

本記事では下り東京発の具体的時刻を一部示してみたが、上りの方がもう数分「動き」があったりもする。また、新たな待避パターンが発生しているなどダイヤ面で興味深い事実もたくさんありそうだ。後日改めて詳細・別観点のダイヤ比較・分析を行えればと思う。