【2020春改正】山陽直通定期のぞみは東京09・30・51分発!のぞみ12本ダイヤで時刻はどう「ズレる」?(下り編)

のぞみ 博多

3月14日のダイヤ改正により、東海道新幹線は「のぞみ12本ダイヤ」「N700系統一による速度向上」が行われる。それに合わせて、山陽・九州新幹線を含めて列車時刻が全体的に変わることになる。

ほぼ全列車の時刻に影響がある一方、「速度向上による時間短縮」「臨時列車スジの増加」その他プレスリリースに記載されたような要素を除けば、概ね今まで通りの列車設定でもある。特に東海道新幹線区間は発車時刻が「ズレる」という程度の変化であるようにも見えるのだが、新たな待避パターンの発生などもあり一言では言い表せない面もある。

今回、改正前後の同じ列車に相当するダイヤを比較することで、実際に東海道山陽新幹線を利用する上での一側面を考えてみたい。全てを扱うと長くなり過ぎてしまうので、本記事ではまず東海道新幹線を走る定期のぞみ・ひかり・こだま号のパターンダイヤのうち「下り」のみに注目してみたい。

 

なお、今回のダイヤ改正で多くの列車の「号数」が変化するが、その法則等については先日の記事をご参照いただきたい。

tyobi-train.hateblo.jp

のぞみ号(定期・山陽直通)

2008年3月以降長い間、定期列車の山陽直通列車は東京毎時「10分・30分・50分」とピッタリ20分毎に発着していた。しかしダイヤ改正後は東京発着時刻が完全3分毎となる影響で、東京発毎時「09分・30分・51分」という21・21・18分間隔になる。無理矢理感もあるが、極力以前の状態に近づけたいという意図は読み取れなくもない。

以下、具体的に東京8時発の山陽直通定期のぞみ号の時刻を追ってみたい。

改正前(〜2020/3/13)   改正後(2020/3/14〜)
のぞみ
15号
のぞみ
17号
のぞみ
103号
時刻 のぞみ
15号
のぞみ
17号
のぞみ
83号
8:10 8:30 8:50 東京 8:09 8:30 8:51
8:17 8:37 8:57 品川 8:17 8:37 8:59
8:29 8:49 9:09 新横浜 8:29 8:48 9:10
9:48 10:13 10:33 名古屋 9:47 10:10 10:32
10:24 10:49 11:10 京都 10:23 10:46 11:07
10:37
10:39
11:03
11:05
11:23
11:25
新大阪 10:36
10:38
11:00
11:02
11:21
11:23
10:52 11:18 11:38 新神戸 10:51 11:15 11:36
11:55 姫路 11:52
11:24 11:51 12:15 岡山 11:23 11:48 12:13
11:41 福山 11:40
12:04
12:05
12:26
12:27
12:50 広島 12:03
12:04
12:23
12:24
12:48
  徳山  
12:58   新山口 12:55  
12:52 13:18   小倉(着) 12:51 13:14  
13:07 13:33   博多(着) 13:06 13:30  
 
2:27 2:33 2:33 東京-新大阪 2:27
(±0分)
2:30
(-3分)
2:30
(-3分)
3:54 3:56 4:00 東京-広島 3:54
(±0分)
3:53
(-3分)
3:57
(-3分)
4:57 5:03   東京-博多 4:57
(±0分)
5:00
(-3分)
 

まず東京毎時10→9分発・(主に)福山停車のスジ(のぞみ15号)について。元々パターンダイヤの中ではN700系の使用が前提の最速達スジであったが、所要時間は変わらず全体的に発車時刻が1分前倒しになる。東京-博多間は引き続き4時間57分となる。

一方で東京毎時30分発・(主に)徳山or新山口停車のスジ(のぞみ17号)は、東京-名古屋間で3分短縮し、以降はほぼ今まで通りの速度で3分前倒しの時刻での運転となる。これにより、東京-博多の所要時間が5時間ジャストになっている。また、山陽新幹線区間での東京毎時10→9分発の列車との運転間隔も縮まっている。

東京毎時50→51分発・(主に)姫路停車・広島止まりのスジ(のぞみ103号→83号)も、新大阪までに3分短縮、山陽区間は2〜3分前倒しの時刻での運転となる。東京-広島間の所要時間が3時間57分となり、4時間を切っている。東京51分発が博多行き列車になる時間帯もあるが、定期列車であればやはり博多まで5時間ジャストに短縮される。

 

総合的には「(東海道新幹線区間で)所要時間が0〜3分短縮される」「山陽新幹線区間では、今までよりも発車時刻が前倒しになる」という知見が得られる。

ひかり号(新大阪・岡山行き)

続いて、ひかり号を見ていく。パターンダイヤ上のひかり号には2種類あり、例外を恐れずに言えば「東京毎時03分発・静岡県内2〜3駅停車・京都から各駅停車の岡山行き」「東京毎時33分発・小田原or豊橋停車・名古屋から各駅停車の新大阪行き」の2種類である。

ひかり号は、東京駅の発車時刻(分)自体は変わらず、また部分的に所要時間短縮が見られるが、それ以上に待避パターンの変更による影響も大きい。また、「ひかり500号台の意味する列車が、東京毎時33分発の列車から毎時03分発の列車に変更になる」というのも地味に重要である。

具体的に、東京発8:33〜9:33の3列車を見てみよう。

改正前(〜2020/3/13)   改正後(2020/3/14〜)
ひかり
505号
ひかり
465号
ひかり
507号
時刻 ひかり
635号
ひかり
505号
ひかり
637号
8:33 9:03 9:33 東京 8:33 9:03 9:33
8:40 9:10 9:40 品川 8:40 9:10 9:40
8:52 9:21 9:52 新横浜 8:51 9:21 9:51
10:08 小田原 10:07
9:46 三島 9:46
10:03
10:11
静岡 10:02
10:07
10:30
10:37
浜松 10:27
10:31
9:57 豊橋 9:54
10:17
10:18
11:07
11:08
11:17
11:18
名古屋 10:14
10:19
11:01
11:03
11:14
11:19
10:27
10:30
11:27
11:30
岐阜羽島 10:29
10:35
11:29
11:35
10:44
10:52
11:44
11:52
米原 10:47
10:53
11:47
11:53
11:11
11:13
11:45
11:46
12:11
12:13
京都 11:12
11:23
11:37
11:43
12:12
12:13
11:26 12:00
12:02
12:26 新大阪 11:27 11:57
11:59
12:27
  12:15   新神戸   12:12  
  12:22
12:30
  西明石   12:20
12:28
 
  12:40
12:44
  姫路   12:39
12:43
 
  12:52
13:03
  相生   12:52
13:02
 
  13:19   岡山(着)   13:19  
 
1:44 2:04 1:44 東京-名古屋 1:44
(-3分)
1:58
(-6分)
1:44
(-3分)
2:38 2:42 2:38 東京-京都 2:39
(+1分)
2:34
(-8分)
2:39
(+1分)
2:53 2:57 2:53 東京-新大阪 2:54
(+1分)
2:54
(-3分)
2:54
(+1分)
  4:13   東京-岡山   4:13
(±0分)
 

東京毎時33分発の新大阪行き(ひかり505・507号→635・637号)は、(豊橋・)名古屋には3分早く到着するようになる。その上で、名古屋で東京毎時39分発の臨時のぞみ号(新大阪行き)を待避するようになる。この臨時のぞみスジは運転頻度は低めのスジであり空待避のことも多いが、このスジは本改正での増発分であり、また東京発時刻もひかり号に今まで以上に迫っているため、少しでも早い段階で最初の待避ポイントを作りたいという意図なのだと思われる。なお、名古屋駅でひかり号がのぞみ号を待避するようになるのは、定期のぞみ号が毎時2本化されたタイミングでの、山陽直通ひかり号が新大阪行きのぞみ号を待避していた時期以来である。

以降、名古屋発は今までより1分遅くなり、岐阜羽島米原での待避時間は調整されつつ、最終的に新大阪到着は1分遅くなる名古屋駅の停車時間が長くなる他は概ね今まで通り、ぐらいに捉えても良いかもしれない。

 

東京毎時03分発の岡山行き(ひかり465号→505号)は、名古屋には6分、京都には8分も早く着くようになる。この要因として、静岡・浜松両駅での停車時間の縮小(7〜8分→4〜5分)が挙げられる。それぞれの駅でのぞみ号を(臨時列車が全スジで走る場合)2本ずつ待避するのは変わらないが、その計4本ののぞみ号の速度向上や運転間隔縮小による影響で待避時間を最小限に抑えられていると思われる。

一方でこの岡山行きひかり号は、なんと京都駅で東京駅毎時24分発の臨時のぞみ号(新大阪行き)を待避するようになる。この臨時列車のスジは運転日数も少なめであることが多く、運転日以外であれば空待避でただただ京都駅に6分停車することになる。新大阪行きののぞみ号を待避させる必要性は低いように思えるが、のぞみ号の所要時間(新大阪まで2時間半に納めたい?)、新大阪駅のホーム都合、山陽新幹線のダイヤ等のバランスが関連するものと思われる。実際、この待避を含めても、岡山行きひかり号は新大阪に今までより3分早く到着する。また、各駅停車となる山陽新幹線では後続列車の待避の都合などがあるのか所要時間が伸び、岡山駅到着時間は今までと変わらない。静岡や浜松から岡山等への所要時間が5分程度伸びた(発車時刻だけ早まった)ということでもある。

 

ひかり号について2種類共通で言えるのは「東京-名古屋間の所要時間は短縮する」「名古屋or京都で臨時のぞみ号待避のための長時間停車が生じる」「終点までの所要時間はほぼ変わらない」ということになる。

こだま号(名古屋・新大阪行き)

最後に、こだま号について見ていく。東京発毎時26・56分発だったのが27・57分発に見た目上1分繰り下がり、それぞれ名古屋行き・新大阪行きであることは変わらない。

東京駅8時台発の2本のこだま号の時刻を比較する。待避駅でない駅のうち新横浜までと熱海・改正前の掛川では発時刻のみを示す。

改正前
(〜2020/3/13)
  改正後
(2020/3/14〜)
こだま
639号
こだま
641号
時刻 こだま
709号
こだま
711号
8:26 8:56 東京 8:27 8:57
8:34 9:04 品川 8:34 9:04
8:45 9:16 新横浜 8:45 9:15
9:01
9:05
9:30
9:35
小田原 9:00
9:05
9:30
9:35
9:14 9:44 熱海 9:13 9:43
9:21
9:24
9:51
9:57
三島 9:20
9:25
9:50
9:55
9:34
9:39
10:06
10:12
新富士 9:34
9:37
10:03
10:08
9:50
9:55
10:23
10:26
静岡 9:47
9:52
10:18
10:21
10:10 10:40 掛川 10:06
10:08
10:34
10:36
10:20
10:22
10:50
10:55
浜松 10:19
10:23
10:46
10:51
10:34
10:41
11:08
11:13
豊橋 10:35
10:39
11:02
11:08
10:54
10:58
11:26
11:32
三河安城 10:51
10:56
11:21
11:25
11:09 11:43
11:45
名古屋 11:06 11:37
11:43
  11:54
11:57
岐阜羽島   11:53
11:58
  12:12
12:19
米原   12:10
12:16
  12:38
12:40
京都   12:34
12:36
  12:53 新大阪   12:51
 
2:43 2:47 東京-名古屋 2:39
(-4分)
2:40
(-7分)
  3:57 東京-新大阪   3:54
(-3分)

のぞみ号が増発となった分待避回数が増えることになり、具体的に掛川・(新大阪行きのみ)名古屋での待避が追加される。新大阪行きの場合、なんと三島-米原間の全駅で待避時間が設定されることになる。しかしN700系前提となる効果もあってか、全体的な所要時間としては、数分程度短くなる。着発時刻は全体的には前倒しになる駅が多いが、待避タイミングの都合上、時刻が後ろ倒しになる駅も一部存在するようだ。なので、各駅間での所要時間は伸びたり縮んだりしている。

なお、名古屋で新大阪行きこだま号を追い抜くのぞみ号は毎日運転の東京毎時00分発(東京をこだま号の1時間3分後に出発する列車)である。実は今まで三河安城での追い抜きだったものが、こだま号がスピードアップしたことにより名古屋まで逃げ切れるようになった、という形になっている。

まとめ

以上、東海道新幹線を走る下り定期列車のスジの変化について見てきた。

総括としては東海道新幹線区間で所要時間が0〜3分程度短縮される列車が多い」「(概ね西に行くほど)発車時刻が前倒しになる駅が多い」「ひかり号・こだま号が名古屋や京都で長時間停車(のぞみ号を待避)するようになる」ということになるだろう。今回直接取り上げなかった臨時のぞみ号も所要時間短縮になるスジが多いので、平均的には間違いなく所要時間短縮傾向にあると言って良い。一方で、ひかり号・こだま号は待避回数(停車時間)が増える傾向にあり、実際の所要時間の増減にかかわらず体感的に遅く感じてしまうことはあるかもしれない。

 

今回はパターンダイヤのごく限られた部分のみを見たが、始発・終電付近の列車や臨時列車、山陽新幹線の他の列車も含めれば、さらに色んなことが違いが存在するだろう。

近日中に、本記事と同様の分析を上り列車にも行った記事を公開する予定である。基本的なパターンは下りと同じだが、運転時刻の変更度合いが下りと異なるので、そのあたりにも注目したい。