エアポート急行「金沢文庫行き」とその意味

1631編成「エアポート急行金沢文庫行き」表示(2010/5/27)

1631編成「エアポート急行金沢文庫行き」表示(2010/5/27)

京浜急行の新種別「エアポート急行」設定からまもなく10年となる。

そんなエアポート急行のうち、横浜方面の列車の大半は「羽田空港*1⇔逗子・葉山(旧:新逗子)」間の運転であるが、一部列車は短縮運転となっている。その中でも最も多いのは「金沢文庫行き」だろう。

仲木戸駅1番線に到着する1631編成エアポート急行金沢文庫行き(2010/5/27)

仲木戸駅1番線に到着する1631編成エアポート急行金沢文庫行き(2010/5/27)
運転開始当初では珍しい6両編成による運転

エアポート急行の(羽田空港発)金沢文庫行きは、2010年5月のエアポート急行登場時のダイヤから数本存在している。増便や運転時間の拡大と共に増加し、2020年5月現在のダイヤでは金沢文庫行きが平日14本・土休日6本設定されている。

金沢文庫行きが設定される時間帯としては、エアポート急行の最終列車の他、当初は時間帯の変わり目が多かった気もするが、現在平日では朝ラッシュ時や10〜15時頃に毎時1〜2本程度の設定で割と分散されている。

終点金沢文庫駅2番線に到着した1631編成エアポート急行金沢文庫行き(2010/5/27)

終点金沢文庫駅2番線に到着した1631編成エアポート急行金沢文庫行き(2010/5/27)
接続する始発の普通列車新逗子行きは、折り返し上りエアポート急行となる

では何故、逗子・葉山行きではなく金沢文庫行きのエアポート急行が設定されているのか。実はこれらの列車のほとんどは、金沢文庫で始発の逗子・葉山(新逗子)行きの列車に接続するように設定されている。

2010年当初の例としては、エアポート急行(当時基本8両、一部6両)の運転時間帯が終わる頃などに「金沢文庫始発 普通新逗子行き」(4両or6両)に接続し、その列車は折り返し横浜方面まで行く普通列車となっていた。

現在は、エアポート急行(6両or8両)から「金沢文庫始発 エアポート急行逗子・葉山行き」(6両or8両)に接続するケースが多い。空港を全く経由しないエアポート急行であり一見不思議だが、逗子・葉山で折り返しエアポート急行羽田空港行きとなる列車はそのように種別を設定してしまうようだ*2。なお交通新聞社発行の東京時刻表では、エアポート急行同士の接続で運用番号に変化がない場合、同一列車のように時刻が掲載された上で「金沢文庫でのりかえ」と表記されている場合もある。

始発逗子・葉山行き(8両)に接続する金沢文庫駅止まり(6両)(2020/3/21)

始発逗子・葉山行きのエアポート急行(8両)に接続する金沢文庫駅止まりのエアポート急行(6両)(2020/3/21)
現在は文庫始発逗子・葉山行きでも折り返し同種別であれば「エアポート急行」を名乗る場合が多い

このようなダイヤとなっている意味についてだが、金沢文庫駅エアポート急行の「運用入れ替え」を行うのが目的であると思われる。例えば上の写真のように6両⇔8両の入れ替えというケースがあり、乗客の多いラッシュ時間帯に8両編成の運転比率を高めることができる他、最終的に特急列車の運用に就くような列車もある。他には、交換後の列車(都営車)が逗子・葉山で折り返してエアポート急行羽田空港行きとなった後、羽田空港の折り返しで都営浅草線方面の列車として運転するケースも存在する。

*1:厳密には2010/10/21以降は「羽田空港国内線ターミナル」駅、2020/3/14以降は「羽田空港第1・第2ターミナル」駅である。方向幕や各駅の案内板等では単に「羽田空港」と表記されている。

*2:京急の場合、他に快特や特急の京急久里浜-三崎口間などでも同様の区間運転列車が存在する。