一応ながらも夏の観光シーズンを迎え、踊り子号にも多数の臨時列車が設定されている。特に「踊り子51〜58号」は繁忙期のみに設定される列車で、2020年春のダイヤ改正以降ではゴールデンウィークに初めて運転される予定だったものの緊急事態宣言下で運休となり、結果的にこの夏初めて運転される列車である。
運転日数の少ない踊り子51〜58号にはそれぞれ個性的な特徴があるのでいずれそれぞれ記事に出来たらと思うが、本記事では、この夏は4連休(7/23〜7/26)のみ運転される「踊り子55・56号」について紹介したい。
※2021年2月追記
・2〜3月の河津桜シーズンの土休日は、夏季同様185系6両+4両で運転予定も、河津桜まつり中止に伴い下り55号は運休(回送)・上り56号のみ運転。
・2021年5月のゴールデンウィーク(連休)もほぼ同時刻(55号下田着は13:00に早まる)、E257系で運転予定。
運転概要
今夏の運転日
7/23(木祝)-7/26(日)
充当編成
185系10両編成(6両+4両) ※全車指定席
今夏は運転されないが、「快速ムーンライトながら号」にも充当されている185系6両+4両の編成である*1。少なくともここ最近は、B6編成(6両)+C7編成(4両)で構成されているようである。
編成の特徴としては、6号車と7号車の間が通り抜けできないことに加え、踊り子号としては珍しく「グリーン車が連結されていない」という点にある。また途中通り抜けできないこと等も影響しているのか、他の「踊り子号」の多くでは2両連結されている自由席が存在せず、全車指定席の列車となっている。
運転時刻と停車駅
踊り子55号 伊豆急下田行き
東京10:15→13:16伊豆急下田(所要時間3時間1分)
途中停車駅:品川、横浜、熱海、伊東、伊豆高原、伊豆熱川、伊豆稲取、河津
下り踊り子号の大半は東京駅を毎時「00分」「30分」に出発するようになっているが、踊り子55号は東京を10時「15分」というタイミングに出発する。10:00発の踊り子7号(定期・E257系)、10:30発の踊り子9号(土休日運転)の間に走る形だ。
停車駅が最も少ない速達タイプで、ダイヤ改正前にほぼ同時刻を走っていた踊り子153号の頃は品川すら通過していたほどだが、その一方で所要時間は下り全踊り子号の中でも最大級の3時間超え*2となった。
踊り子56号 東京行き
伊豆急下田15:31→18:19東京(所要時間2時間48分)
途中停車駅:河津、伊豆稲取、伊豆熱川、伊豆高原、伊東、熱海、湯河原、小田原、大船、横浜、川崎、品川
踊り子56号は55号とは対照的に、(網代は通過しつつも)湯河原・小田原・大船・川崎に停車する停車駅の多いタイプの列車であるが、所要時間自体は標準的と言える。同日にセットで運転される2列車の停車駅が全く異なるタイプなのも興味深い点である。
伊豆急下田発は15:31で、定期列車の踊り子16号(15:07発)、踊り子18号(16:02発・E257系・池袋行き)の間を走る設定である。
注目ポイント:他の列車に比べて空いている?
実際に踊り子56号に乗車し、また55号の空席状況も簡単に調べてみたが、その感触としては明らかに「前後の踊り子号(定期列車等)に比べて空いている」という点である。同日(4連休の2日目:7/24)に運転された踊り子7・9号、踊り子16号あたりの指定席は(始発駅出発前時点の東京-伊豆急下田全区間累計で)海側の座席が半分〜ほぼ全列程度埋まっていたようだが、踊り子55・56号は予約時点で各車両数人程度であった。自分が実際に乗車した踊り子56号の6号車は当日朝にえきねっとで予約した際は0人、最終的にも最大10人以内程度であったように思う。(時勢的に即して言えば、ソーシャルディスタンスをより確実に確保しやすい列車であったと言える。)
理由はいくつか考えられるが、まず「臨時列車であること」自体、言い換えれば「運転日が少なく認知度が低い」ということもあるだろう。特に今年の場合、夏季の踊り子号臨時列車運転の正式発表が6/19、予約開始が6/24とギリギリ約1ヶ月前というタイミングだったのがさらに影響していた可能性もある*3。
また特に踊り子55号に関しては、停車駅が少ない上に、利用しやすい時間帯とはいえ前後の列車との運転間隔が狭いということが挙げられる。臨時列車でも通常は前後の踊り子号と約30分は離れているものの、踊り子55号は東京発時点で前後の列車と15分しか間隔がない。踊り子55号を使うぐらいなら、東京発は少し早いもののやや速くて伊豆方面への到着が2~30分ほど早い踊り子7号か、東京発が遅いわりに伊豆方面への到着時間が10分程度しか変わらない踊り子9号を選択した方が便利と考えるケースも多いだろう。
そして自由席やグリーン車の利用を考えている乗客が使うことのできない列車でもあり、また指定席が10両(通常5〜7〜8両)で1両あたりの乗客が少なくなりやすい環境ということも影響するだろう。
注目ポイント+:運転される場合、伊豆急下田に13分間で3本の特急が到着する
余談的にはなるが、「踊り子55号・踊り子9号・サフィール踊り子1号」の3列車は、伊豆急線内で比較的短い運転間隔で3本連続で走るというのが個人的に面白いポイントだと感じている。踊り子55号や踊り子9号が遅く、一方でサフィール踊り子1号が比較的短時間で運転されるために起こる現象である。
東京時点では踊り子55号とサフィール踊り子1号は45分の差があるが、伊東発車時点で31分、伊豆高原発車時点で23分、河津発車時点で16分、そして伊豆急下田到着時点ではたった13分の差*4となる。この間に踊り子9号も走るので、下田に近づけば近づくほど短時間の間に特急が3本走る状態である。しかも、その間に下り普通列車は設定されていない。
伊豆急沿線で効率よく(下り)踊り子号を撮影したい場合には、踊り子55号運転日の昼過ぎを狙ってみるのが良いかもしれない。もっとも、踊り子55号運転日でなくとも土休日であれば、踊り子9号とサフィール踊り子1号が伊豆高原以南では10分以内の間隔で続行運転している。
まとめ
以上、現状に基づいて「踊り子55・56号」についていくつかの観点でまとめてみた。
踊り子55・56号はこの夏は7/23-26のみの運転となるが、おそらくこのまま行けば少なくとも2月の河津桜の時期には再び運転されるものと思われる。その頃は仮に列車名や運転時刻が同じでも185系あるいは6+4両の編成が使われるとは限らないが(E257系に置き換わるなど)、もし多客期の踊り子号指定席利用を考えているなら、比較的空いている可能性の高い列車として狙ってみるのも良いかもしれない。