営業運転2日目となる3月15日(日)、土休日運転の新宿始発「サフィール踊り子5号」のグリーン車で武蔵小杉→伊豆急下田を乗車した。
本記事では、実際にサフィール踊り子号に乗車した感触、あるいはその前後に考えたことなどを、自分なりに雑多に記してみたい。
- 前置き:サフィール踊り子5号の運転概要
- 武蔵小杉(12:44発)
- 座席(グリーン車)
- 車窓(山側、武蔵小杉〜横浜〜熱海〜伊東)
- カフェテリア(4/5巡目=14:15-14:35)
- 伊豆高原停車(14:47着・14:51発)
- 車窓(伊豆急線内・山側)
- 伊豆急下田着(15:30着)
- まとめ
前置き:サフィール踊り子5号の運転概要
サフィール踊り子号には定期運転の1・2号、臨時運転の3・4・5号がある。その中でもサフィール踊り子5号は土休日のみ(5/30・31を除く)に運転される、サフィール踊り子号唯一の新宿発着(始発)の列車である。
停車駅と発着時刻
着 | 発 | 備考 | |
新宿 | 12:25 | 5番線(特急ホーム) | |
渋谷 | 12:30 | 12:30 | |
武蔵小杉 | 12:43 | 12:44 | |
横浜 | 12:57 | 12:58 | 6番線(東海道線ホーム) |
熱海 | 13:51 | 13:52 | |
伊東 | 14:16 | 14:22 | 普通熱海行き交換 |
伊豆高原 | 14:47 | 14:51 | 普通熱海行き及び サフィール踊り子2号交換 |
伊豆熱川 | 15:00 | 15:02 | 踊り子14号(114号)交換 |
伊豆稲取 | 15:11 | 15:11 | |
河津 | 15:17 | 15:20 | 踊り子16号交換 |
伊豆急下田 | 15:30 |
1番線到着 |
横浜からはほぼダイヤ改正前のマリンエクスプレス79号のスジ*1となっている。伊豆急行線内では伊東や伊豆高原、あるいは運転停車だが川奈、富戸などで列車行き違い待ちの長時間停車が多々あり、他の踊り子号よりも所要時間が長めになっている。
新宿から伊豆急下田までの所要時間は3時間5分。1号が東京から伊豆急下田まで2時間29分で到着してしまうのを考えると、「土休日に」「新宿方面から」「少しでも長く」乗車したい人にオススメの列車となる。
なお、今回は個人的な利便性の都合で武蔵小杉から乗車したが、伊東あるいは伊豆急行線内まで乗車する場合、距離的に料金が1段(1,710円)安い横浜か、同じ料金ということでいっそ始発の新宿からの乗車が、万人向けにはオススメしやすい乗車区間ではある。
武蔵小杉(12:44発)
前置きが長くなったが、ここからが乗車レポである。
サフィール踊り子5号は、武蔵小杉駅の横須賀線下りホームである3番線に到着する。12:41発横須賀線逗子行き、12:51発湘南新宿ライン快速平塚行きの間に挿入されている。
12:41発の横須賀線逗子行きが発車した後、駅員による乗車位置案内があり、またそれによりATOS接近放送の最初が切れつつも「サフィール踊り子」の名称が読み上げられ、サフィール踊り子5号は定刻通り武蔵小杉駅3番線に入線した。
そしてドアが開くと速かに発車メロディが鳴り、1コーラスも鳴らないうちに切られ、ドアが閉まった後に出発した。少なくともこの日は武蔵小杉からの乗車人数が多くなかったためか、停車時間は実質的に最小限(30秒程度)であり、他の普通列車等と比べても短い停車時間だったように思う。
座席(グリーン車)
今回はグリーン車に乗車した。5-8号車のグリーン車は原則として2+1列シート(海側2列、山側1列)である。
座席は在来線特急のグリーン車としては豪華で、新幹線のグリーン車のような形状・機能を持っており、読書灯や充電用コンセント、背および足のリクライニング機能などが付いている。
車窓(山側、武蔵小杉〜横浜〜熱海〜伊東)
グリーン車の1人席(C席)は全て山側である。窓も広いので2人席(A・B席)の向こう側に海を見られないことはないが、席側の窓から直接見ることはできない。海をより近く見たい場合には、デッキに出るか、あるいは4号車カフェテリア利用中ということになる。
以下、JR線内でC席からでも見える光景を少し紹介する。
新宿始発のサフィール踊り子5号は横浜駅手前までは湘南新宿ラインと同様に横須賀線の線路を走る。しかし横浜駅では、横須賀線下りホームの9番線ではなく、いきなり東海道線下りホームの6番線に到着するため、速度を落として転線を行う。
つい先ほどまで隣り合っていたはずの横須賀線上りの線路から離れつつあるのが、横須賀線上り列車とすれ違う際に間に線路があることからも分かる。
横浜-西横浜(相鉄)間はJRと相鉄の線路が並行しており、東海道線に乗りながら相鉄の列車とすれ違ったり併走したりすることがある。サフィール踊り子5号は横浜12:58発だが、現在のダイヤでは相鉄も横浜12:58発の特急海老名行きがある。
今回サフィール踊り子号は、横浜駅発車直後に相鉄の特急列車に追いつき、そのまますぐに追い越した。今回は8000系が見られたが、相鉄は車種が多いのでどんな車両が見られるかも楽しみの一つである。(なおタイミングが少し違えば、間に東海道線や横須賀線(湘南新宿ライン)の上り列車が走って被ってしまう。)
サフィール踊り子号は、全列車が横浜-熱海間の約1時間弱を無停車で駆け抜ける。スーパービュー踊り子号のごく一部(引退直前の2号など)が停車していた小田原・湯河原・網代に停車する列車は今のところ設定されていない。
なおこの日は撮影しなかったが、よく晴れていれば富士山が見えることも何回かある。
サフィール踊り子号の特徴として、天井付近にも窓があることが挙げられる。この日は有難いことに晴天となり、乗車しながら真上や斜め上に青い空やそこに浮かぶ雲を見ることができた。この景気を乗りながらにして体感できることが、サフィール踊り子号の一番醍醐味でもあるだろう。その意味では、山側の席でも十分に楽しみがいはあると言える。
カフェテリア(4/5巡目=14:15-14:35)
サフィールPayでの事前予約
サフィール踊り子号には、過去の食堂車のように料理が提供される車両が連結されることでも話題になった。4号車「カフェテリア」では、ヌードルやいくつかのサイドメニューを購入することができる。
ただしカフェテリア内で食事をする場合(あるいはサイドメニューのみ購入する場合)には、事前予約をしておくことが好ましい・確実である。その方法は限定されており、スマホ専用サイトの「サフィールPay」から乗車日・列車名・自分の座席を指定した上でメニューを選択する。
なお、ヌードルメニューを注文しカフェテリアで飲食を行う場合、時間帯を指定する必要がある。3月15日利用時の場合だが、サフィール踊り子5号の予約可能な時間帯は「12:45-13:05」「13:15-13:35」「13:45-14:05」「14:15-14:35」「14:45-15:05」の5つであった。筆者が乗車前日夜になってから予約しようとした際には早い3つの時間帯の予約が埋まっており、空いていた「14:15-14:35」を選択したのであった。
最終的に当日乗車した際に「カフェテリアは満席」との案内があった。サイドメニューの類も前日の時点で既に売り切れていたが、一部メニューをアテンダントが車内で販売していたようだ。
車内での注文方法
カフェテリアの座席に空きがある場合のみ、当日その場でも予約をすることができるようだ。その方法が座席に設置されている案内からも読み取れる。
文面を読む限りでは、アテンダントに直接お願いすることもできなくも無いが、サフィールPayを通して予約するのが確実なようだ。
5号車側からカフェテリアへの入り方
予約時間の14:15頃(伊東駅停車直前)に4号車に向かうと、同時間帯を予約した乗客数名が並んでいた。アテンダントにサフィールPayのQRコード読み取りを受けた後に入室する流れとなる。運転開始2日目のこの日は、システム担当と思われる人物が、サフィールPay読み取り作業に関してアテンダントの補助を行っていた。
なおこの時、QRコードは必ずこの場でサイトにアクセスして提示する必要がある。セキュリティのため数分おきにコードが変わるため、スクリーンショットでは認識できないとのことだ。この部分に対し手間取るシーンも見られた。伊豆急線内のネット環境があまり良くないこともあり、この辺りの運用は改善が期待される面でもある。(なお、そもそも時間予約制になっている点などは、乗客の殺到を避けるためにも必須の運用だったと考えられる。)
4号車の内装や景色(14:15-14:35)
4号車のカフェテリアは、海側のカウンターが8席、山側の4人がけテーブル席が2セット、というレイアウトになっている。1人での来店であれば、海側のカウンター席に案内される可能性が高いと考えられる。
また、天井・壁・床は灰色の石のような質感のものとなっている。
ダイヤ通りだと、伊東駅に14:16着・14:22発と6分停車する。予約時間の14:15に対して早めに並べば、伊東駅停車中に料理が提供されるぐらいのタイミングかもしれない。
また伊東駅発車直後は海岸線付近を走るため、目の前に本当に海が広がる絶景となる。グリーン車C席に乗車している場合、カフェテリア滞在中は海が目の前に見えることになるので、伊豆急行線内を走る遅めの時間帯にカフェテリアを予約するのもオススメと言える。
ヌードルメニュー
今回は「ヌードル・重慶焼売(2個)セット」(税込900円)を注文した。
ヌードルは深めの器に入っており、量自体はそれほど多くない。また、スープの味はあっさりめである。伊豆でさらに美味しいグルメを楽しむ前の軽い腹ごしらえ、として最適かもしれない。
伊豆高原停車(14:47着・14:51発)
伊豆高原駅では列車行き違い待ちのため4分間停車する。1番線に到着するが、2番線には普通列車熱海行きが停車中である。また発車直前には対向ホームの3番線に定期列車のサフィール踊り子2号が入線する。
サフィール踊り子号が2本並ぶのは基本的に臨時列車運転日のこのタイミングのみであり、駅舎付近の高台からサフィール踊り子号2本の並びを見学・撮影する観光客も多かった。
車窓(伊豆急線内・山側)
伊豆急線内の車窓には見所が多く、海側の景色が綺麗なのはもちろんだが、山側にも特徴的な光景がいくつかある。
河津駅では対向の踊り子号待ちで3分ほど停車時間があったので、一旦ホーム上に出てみた。河津駅の下りホーム後方には木の板でできたスペースがあり、そこから車両を撮影することもできる。
伊豆急下田着(15:30着)
武蔵小杉から3時間弱(新宿からなら3時間超)、長いようで短いサフィール踊り子号の旅は完結する。
車内ドア上のディスプレイは広く、今までの列車と比べても情報がハッキリと見やすくなっている。
8号車に入るドアは半透明で、デッキからでも展望席の先まで見渡せてしまうほどの光景であった。今回は直接乗車できなかったが、8号車(特に上り)に乗車した時の爽快感は、スーパービュー踊り子号の展望車両あるいはそれ以上のものがありそうであり、次回はぜひ狙ってみたい。
伊豆急下田駅1番線に到着した直後、鳴っていた発車ベルが鳴り終わり、2番線からは6月末までの運転となる伊豆クレイル号が発車していった。この光景も残り少ない伊豆クレイル号の運転日限りである。
またホーム横の側線には、E257系(おそらく踊り子7号として伊豆急下田に到着した編成)が留置されていた。以前は251系(おそらくスーパービュー踊り子3号として到着した編成)が留置されていた場所でもある。
まとめ
以上、運転開始2日目にサフィール踊り子5号に乗車した際のレポートを記した。
大まかな印象としては、JR東日本のグリーン車としては最上級レベル・最先端の座席で、内装・窓配置等のデザインで高級感が演出されており、その割には比較的手軽に予約・乗車できるという点から見ても、伊豆方面への新たな観光特急として想像以上に良い列車が生まれたと感じた。今回乗車できなかったプレミアムグリーン車や個室も含め、またいつか乗車したいものである。
一方、スーパービュー踊り子号のグリーン車にはあったドリンクサービスが無くなるといった変容もある。また、カフェテリアの利用に加え車内販売までも事前予約が重要であったりその予約システムである「サフィールPay」の使い勝手だったりなどサービスの細かい部分の難しさもあり、今後の改善やサービス追加等も期待していきたいところではある。
席数や料金、運転本数の面ではスーパービュー踊り子号と比べて乗りにくい列車となった面もあるが、希少価値が上がった分、サフィール踊り子号自体は非常に良質な空間であるとも感じた。今後も時間と金銭面が許せば、是非伊豆方面への旅行の際に利用したいと思う。