※5/24追記:JR東海5/22発表のプレスリリースによると、6/1(月)より東海道新幹線区間および東海道・山陽新幹線直通列車は定期列車全列車が運転再開となるようです。最新情報はJR東海公式HP等でご確認くださいませ。
昨日5/14(木)、首都圏・関西圏・北海道の8都道府県を除く39県に対しての緊急事態宣言が解除された。一方、それらの地域でも県を跨ぐような移動(特に緊急事態宣言継続中の都道府県への移動)は引き続き自粛要請が求められていく模様だ。
それを前に今週頭の5/11(月)より、東海道・山陽・九州新幹線では定期列車も対象に入れた減便ダイヤが実施されている。日本の中枢を担う新幹線でもあるが、既に定期列車のみの運転となっていたゴールデンウィーク期間中の利用人員は前年比6%*1と非常に利用率が低い状態であった。この度、さらに運転本数を減らした一方で、今後(自粛要請下とはいえ)乗客が戻る方向に進むとは思われ、その減便形態が気になるところだ。
本記事では、一昨日投稿したJR東日本の新幹線・在来線特急の減便ダイヤ概要分析に続き、5/11(月)より既に実施されている東海道・山陽・九州新幹線の減便ダイヤについて、運転本数やダイヤ構造の概要を見ていきたい。
東海道・山陽・九州新幹線の減便ダイヤ
5月7日に発表されたJR東海のプレスリリースに掲載されている時刻表を元に、その概要をいくつかの観点でまとめ直してみる。(別項目で2回以上同じことを記した箇所もある。)
今回は基本的なパターンや例の提示に留めるので、詳しい時刻や停車本数などは、上記リンクの公式掲載の時刻表等をご参照いただきたい。
東海道新幹線内
- 運転される列車は、東海道新幹線の範囲内では原則として元々走っていた列車の時刻・号数・停車駅となっているが、一部のぞみ号で行き先(始発駅)変更がある。
- 「ひかり」号、「こだま」号は全ての定期列車が運転(それぞれ毎時2本+朝夕運転の短距離のこだま号)。
- 「のぞみ」号は、東京-新大阪間は1時間に3本程度(約20分毎)の運転。
- 運転される「のぞみ」号は、原則として元々山陽新幹線に直通する列車であった下り東京毎時09, 30, 51分発、上り東京15, 36, 54分着。
- 元々山陽新幹線直通の定期列車が走っていても、これらのスジ以外の列車は基本的に運休(例えば、東京18:00発ののぞみ101号は全区間運休)。
- そのうち山陽新幹線に直通するのは1時間に1本(時間帯により+α)まで削減。毎時東京09分発/36分着の、主に福山に停車する便である。他の列車は、日中多くの時間帯で東京-新大阪間のみの運転。
- 上下線共に早朝(始発駅6時台)の時間帯のみ、1時間あたり4本ののぞみ号が走る時間帯がある。
- のぞみ号が減便となっても、東京-新大阪間で見れば、日中のひかり号は原則として先着することはない(通常通りだが、東京03分発は熱海・三島・静岡-新大阪間、東京33分発は東京-米原間なら先着と考えて良い)。
- ひかり号・こだま号(新大阪発着)の多くには、京都または名古屋で5〜6分程度の停車時間がある(元々臨時のぞみ号を待避するためのものであり、今春のダイヤ改正で多く生じた。なお、上り最終のぞみ64号がこだま最終764号静岡行きを名古屋で追い抜くなど、減便ダイヤ下でも緩急接続が発生するケースもある)。
- もちろん、静岡や浜松、米原など元々ひかり号やこだま号がのぞみ号を通過待避していた駅でも2〜7分程度停車することがある(一部駅では現在ものぞみ号を待避する)。
山陽新幹線内
- 東海道新幹線内と違い、一部で従来通りでない停車駅・運転時刻の列車がある(後述のさくら・ひかり号)。その場合、号数が普段とは違うものとなっている。
- 山陽新幹線内を元々走る「ひかり」号、「こだま」号は基本的に全て運転。
- 東海道新幹線からは、毎時1本+αの「のぞみ」号、毎時1本の「ひかり」号(京都-岡山・広島間各駅停車)が直通。
- のぞみ号は、日中はほぼ福山停車の便のみ。朝夕に姫路や徳山、新山口に停車する便が若干本数ずつ存在。
- 九州新幹線に直通する速達列車「みずほ」号は、下り3本(新大阪午前中発2本601号・605号と最終便615号)、上り1本(最終便614号)のみ残る。
- それ以外の九州新幹線直通列車である「みずほ」号・「さくら」号は、ほとんどの時間帯において毎時1本の「さくら」号、または新大阪-博多間を走る「ひかり」号として再構成。元々同時間帯を走っていた列車の停車駅にかかわらず、基本的に姫路・福山・新山口には停車し、さらに一部が徳山にも停車する。これらの列車は、(のぞみ号の減便の影響もあり)基本的には新大阪-博多間待避なしの先着列車として走り、また新大阪-岡山間で東京発着のひかり号を追い抜くことも多い。
九州新幹線内
- 博多-熊本間運転の「つばめ」号のうち5往復程度が運休。これにより、筑後船小屋・新大牟田・新玉名の3駅は、日中約2時間に1本の停車となる(なお、その3駅のうち1駅に停車する新大阪直通のさくら号3往復は、九州新幹線内はほぼ同時刻で運転される)。
- 九州新幹線内または山陽新幹線発着の「さくら」号は、一部列車が集約されて停車駅増加。熊本-鹿児島中央間は全てのさくら号が各駅停車となる。
- 「みずほ」号は、下り3本(新大阪午前中発2本601号・605号と最終便615号)、上り1本(最終便614号)のみ残る。
東海道新幹線⇔山陽新幹線直通の視点
- のぞみ号の山陽直通列車は半分未満に削減。日中は、毎時1本ののぞみ号(主に福山停車)と、岡山(広島)発着のひかり号のみ直通。
- 東京毎時30分発/15分着の新大阪発着となった便は、新大阪で6〜18分程度の接続でさくら号orひかり号に乗り換え可能。姫路・福山・(徳山)・新山口あるいは全のぞみ号停車駅も含めて、山陽新幹線主要駅への移動に利用しやすい列車となる。
- 時間帯によっては、岡山や広島などの停車駅でこだま号に乗り継げる場合もある。
山陽新幹線⇔九州新幹線直通の視点
- みずほ号下り3本上り1本を除けば、毎時1本程度の「さくら」号が直通。または、置き換えられた「ひかり」号利用で博多乗り継ぎ、という形になる。
- 「さくら」号の中には、比較的運転間隔の近かった2本のさくら号のスジを1本にまとめたような列車も多く、その影響で博多駅で20分弱停車する場合がある(さらに下りの一部では、接続するつばめ号を利用したほうが熊本までの駅に先着できるケースも存在)。
まとめと考察
以上、東海道・山陽・九州新幹線で実施されている減便ダイヤについて、その概要を記した。
のぞみ号やみずほ号など速達列車の運休(や区間短縮)が多い一方で、ひかり号・こだま号の本数は維持されており、さくら号なども列車を集約しつつ両列車の停車駅をカバーするなど、元々停車本数の少ない駅の利便性を極力落とさないようなダイヤとなっているのが特徴的である。各駅間の移動可能性を極力確保しているのだ。
東海道新幹線・山陽新幹線を跨ぐ列車がほぼ半減と大幅に減っているが、引き続き移動自粛が求められており長距離移動はほとんど発生しない前提と考えれば妥当と言える。一方、速達ののぞみ号・京都以西各駅停車のひかり号という対照的な列車が毎時1本ずつ確実に残っているという意味では、狙った利用はしやすいものと思われる。ただし、おそらく山陽直通ののぞみ号がより混雑しやすい列車にはなるので、これに加えて新大阪乗り継ぎのパターンも利用候補に入れる手もある。
またダイヤ改正したばかりというのもあるが、在来線等と乗り継ぐ場合などにはより一層注意が必要である。例えば明日5/16(土)以降、京都・新大阪・岡山で接続するJR西日本の在来線特急の一部(北陸方面、福知山方面、山陰方面、四国方面)の最大半数程度が減便となっており、元々1時間間隔の運転だったのが2〜3時間開くケースもある。特に東海道区間からの直通列車が減っている岡山で乗り継ぐ特急を利用する際には、実施されるダイヤをよく確認する必要があるだろう。
東海道・山陽・九州新幹線に限らずだが、短期間で減便ダイヤの作成・調整を行なった鉄道各社関係者の皆様に敬意を表するとともに、また新幹線を使った移動・旅行が安心してできるような状態に少しでも早くなるのを祈るばかりである。
*1:2020年度ゴールデンウィーク期間のご利用状況(JR東海 2020/5/7)