【2021春改正】特急湘南号運転開始でラッシュ時の「横浜待避」が急増!?

横浜駅6番線を通過する185系湘南ライナー7号小田原行き(2021/3/3)

横浜駅6番線を通過する185系湘南ライナー7号小田原行き(2021/3/3)
E257系特急湘南号はさらにスピードアップし、横浜で先行の普通列車を追い抜くようになる

185系215系で運転されてきた湘南ライナーの運転終了、そしてE257系による特急湘南号の運転開始が秒読みとなっている。ライナーの特急化により指定席化・値上げなどの変化がある一方、ダイヤも大筋はライナー時代を引き継ぎつつもいくつか大きな変化がある。
大まかなポイントは過去の記事*1に記したが、改正後の普通列車の時刻が公開され、新たな事実が判明した。その一つが「多くの湘南号が横浜駅普通列車を通過追い越しする」という点である。現在、(本線系統の)湘南ライナー普通列車を追い抜く駅は大船・平塚・国府津に限られ、横浜駅での通過追い越しは通常行われていないので(日中の踊り子号の一部が接続込みの追い越しを行うのみ)、明らかな変化と言える。

下り湘南号による横浜通過追い越し

東京始発の湘南1号〜湘南17号全てが本線経由だが、湘南13号を除く全ての湘南号が横浜で先行の普通列車を通過追い越しする形となっている。列車によっては、さらに大船・平塚・国府津普通列車を追い越したり、終点の小田原で熱海行きに接続したりする場合もある。

ちなみに、通勤快速の後釜として走る快速アクティー(東京19:48発、20:48発)は平塚(土休日のみ大船)・(19時台のみ)国府津普通列車追い抜き、小田原で先行の普通熱海行きに追いつき、東京21:50発となった寝台特急サンライズ瀬戸・出雲号は小田原まで現・東京21:50発の通勤快速のスジに近いダイヤとなっており、(おそらく)大船でのみ先行の普通列車を追い抜く。いずれも横浜駅での追い抜きとはなっておらず、夕方以降の横浜待避は特急湘南号によってのみ発生するようだ。

上り湘南号による横浜通過追い越し

本線経由は湘南2号・湘南4号・湘南12号・湘南14号の4本だが、この4本全てが先行の普通列車を横浜で通過追い越しする形となっている。列車によってはさらに国府津・平塚・大船で普通列車を追い抜くケースもあるが、いずれにせよ横浜で1本追い抜いている。

なお、上り寝台特急サンライズ瀬戸・出雲号は通常横浜駅で先行の普通列車を追い越すダイヤとはなっておらず、現在はそもそも原則として朝時間帯の横浜待避は発生していない。(ピーク時は7・8番線交互入線となっている。)

何故このようなダイヤに?

横浜駅7番線に停車中のE257系踊り子58号東京行き(2020/8/9)

横浜駅7番線に停車中のE257系踊り子58号東京行き(2020/8/9)
来春からは平日夜に反対側のホームを通過するE257系が見られる

このダイヤで実現されているのは、特急湘南号の(湘南ライナーと比べた時の)速度向上である。湘南号は、下り東京発(上り小田原発)同時刻の湘南ライナーに対して1〜12分ほど速達されており、下り湘南5号・9号は東京-大船間を最速の35分で結んでいる。これは(大船、さらに川崎・横浜停車の)踊り子号の最速36分よりも速い。現在の湘南ライナーは、東京-大船間夕ラッシュ時最速38分、深夜帯37分程度なので、それらと比べても時短となっている。また上り湘南号は大船-東京間を38〜40分で結び、これはやはり現在の大船停車の上り湘南ライナー号(41〜45分)に比べて早くなっている。

下り夕ラッシュ時の話だが、普通列車は東京-大船間の所要時間が早くて42分程度である。この際、ピークを過ぎた時間帯でも東京発10分間隔(11分以内)を崩さないようにすることを考えると、湘南号を東京-大船間35分程度で走らせたい場合に、普通列車がギリギリ大船まで逃げ切れるかどうか微妙なところである。普通列車がより過密な18〜19時台だと、確実に追いついてしまう。そこで、より早いタイミングである横浜で普通列車を追い抜く形にすることで、特急湘南号がよりスムーズに走ることができる。

なお、横浜で特急湘南号を待避する普通列車、東京-国府津・小田原間ぐらいの距離で見れば現在と所要時間がほとんど変わらないものがほとんどで、上りも横浜前後の駅で若干歪むものの始発駅の時刻・東京着時刻はほぼ変化していないが、下り東京-大船・藤沢・辻堂・茅ヶ崎あたりだと待避など込みで現在(あるいは改正後の土休日ダイヤ)に比べて所要時間が5分程度増加している。その意味でも「特急誘導」のダイヤ構造になっていると言えるが、メリットとして言い換えれば「特急料金を払うことで、着席保証かつ先行の普通よりも早く目的地に到着することができる」と言ったところであろう。あるいは、特急(料金)となる以上は速達性が今まで以上に重要となる、と言う側面も影響しているかもしれない。

まとめ

横浜駅6番線を通過するE231系通勤快速小田原行き(2021/3/3)

横浜駅6番線を通過するE231系通勤快速小田原行き(2021/3/3)
ダイヤ改正後は、普通乗車券で乗車できる列車が横浜を通過することは無くなる

以上、本線経由の特急湘南号の多くが横浜で先行の普通列車を追い抜くようになる、という事象を分析してみた。

現在、東海道線の横浜待避は、日中の踊り子号(主に下り)が先行の普通列車を追い抜くケースは存在しているが、湘南ライナーや通勤快速による横浜通過追い越しは設定されていない。しかし特急湘南号の速度向上目的もあるのか、横浜での普通列車追い抜きが常態化する模様である。

ライナーの特急化で多少なりとも値上げとなるが、速達性はやや向上するようである。一方、特急湘南号を待避する普通列車は所要時間が増減する区間があるので、必要に応じてダイヤ改正後の時刻を把握し直すと良いだろう。

ダイヤ改正後、ライナーに替わる特急湘南号の活躍にも注目していきたい。

*1: