相鉄9701Fの想い出(1)〜9000系唯一の幕車・非YNB車、11月で引退とは…〜

海老名駅1番線に到着する9701F特急海老名行き(2020/7/19)

海老名駅1番線に到着する9701F特急海老名行き(2020/7/19)

20000系の投入が続く一方、11月で新7000系が完全引退したばかりの相鉄の車両情勢。今後もまだまだ20000系は投入されていくため、その置き換え対象として8000系の初期車とともに動向に注目が集まっていたのが、9000系で唯一YNB化更新されず旧塗装で幕車のまま運転されていた、トップナンバーの9701Fである。そんな9701Fが、11月末で運転終了となり、既に陸送されてしまったとのことである。

相鉄最後の幕車として新7000系の次は9701Fを撮影したい…と思っていた矢先の想像以上に早い引退となってしまったが、とはいえ何回も撮影したことのある想い出深い編成でもある。

というわけで、ここ約1年程度のものが主とはなるが、9701Fの活躍していた姿について、本記事から2〜3回程度に分けて振り返ってみたい。

さがみ野駅で並ぶ9702F急行海老名行きと9701F急行横浜行き(2019/8/3)

さがみ野駅で並ぶ9702F急行海老名行きと9701F急行横浜行き(2019/8/3)

9000系が順次ヨコハマネイビーブルー(YNB)塗装・内装に改造されていく中、トップナンバーの9701Fのみはコーポレート塗装・幕車のまま改造されずに在籍していた。

同じ9000系でも全くイメージは異なり、9000系のYNB車は特に改造の度合いも高く新車に近いクオリティであるのに対し、9701Fは乗車するたびに旧来の相鉄の雰囲気を思い出すような車両であった。

海老名駅1番線に停車中の9701F急行横浜行き(2019/10/22)

海老名駅1番線に停車中の9701F急行横浜行き(2019/10/22)

今年の時点で相鉄に残った幕車は新7000系と9701Fのみであったが、新7000系の側面幕は種別幕のみであったため、側面に「行先表示」のある幕車は9701Fの1編成のみとなっていた。

9701Fの快速横浜行きの側面方向幕(2020/11/6)
9701Fの各停湘南台行きの側面方向幕(2020/11/6)
9701Fの快速横浜行き、各停湘南台行きの側面方向幕(2020/11/6)

側面に設置されている方向幕と行先表示幕はそれぞれ別の枠となっており、種別幕の方は種別の色で表示されていた。また行先表示の方も、いずみ野線方面の列車であることを分かりやすくするためなのか「湘南台」行きの時のみ青背景となっていた。

「回送」表示は種別幕側に@かしわ台駅(2020/9/22)
「回送」表示は種別幕側に@かしわ台駅(2020/9/22)
「回送」表示は種別幕側に@かしわ台駅(2020/9/22)

また回送列車となる場合、「回送」表示は行き先ではなく種別幕の方に表示されていた。この仕様は、新7000系や3色LED表示の8000系等でも同様である。

9701F車内のボックスシート(5・8号車)
9701F車内車端部のLED表示
9701F車内のボックスシート(5・8号車)と、車端部のLED表示(2019/10/22)

内装に目を向けてみると、9000系は8000系同様ボックスシート付きの編成であり、9701Fも例外ではなく5・8号車には片側3箇所ずつ(×両側)のボックスが付いていた。YNB化された9000系(・8000系)にも同様のボックスシートが配置されているが、座席の色や質が変更されている。

また、9000系初期車の車内には、ドア上でなく車端部に次駅や行き先等のLED表示器が設置されていた。9701Fは、そのような鉄道車両内の近年のスタンダードが定着する前の相鉄独特な仕様が令和になっても見られる車両の一つであったと言える。

西谷駅2番線に到着する9701F各駅停車大和行き(2020/9/5)

西谷駅2番線に到着する9701F各駅停車大和行き(2020/9/5)

数少ない幕車だったからこそなのかもしれないが、9701Fの珍しい行き先(横浜・海老名・湘南台以外)は目撃すると少しラッキーに感じた。もちろん終電のかしわ台行きや通勤特急・通勤急行として9701Fが活躍する機会もあったであろうし、一目見ておきたかったとも感じている。