現在走る唯一の定期夜行列車「サンライズ瀬戸・出雲号」。特に下りの出雲号は週末を中心に満席となることも多く、2014年年末以降の多客期(年末年始・ゴールデンウィーク・お盆)には「サンライズ出雲91号・92号」という単独編成の臨時列車が各シーズン2〜3往復程度運転されている。
そんなサンライズ出雲91号・92号は、この年末年始にも運転される予定である*1*2*3。下り91号が東京2020/12/30発・2021/1/4発、上り92号が出雲市2020/12/29発・2021/1/3発である。上り92号が運転された翌日に下り91号が運転される形となっている。
本来ならゴールデンウィークにも運転される予定だったが、時勢の影響もあり臨時便は運休となってしまい*4、また需要回復度合いがまだ不透明だったのもあってかお盆の運転もなかった。つまり、この年末年始は1年ぶりに「サンライズ出雲91号・92号」が運転されることになる。
さて、本記事では2019年12月(実質1年前)に「サンライズ出雲92号」に乗車した時の様子を簡単に紹介したい。当時とは細かい時刻等が多少変化しており、またこの時の乗車時には若干イレギュラーな遅延も発生したが、そんな面も含めて今回以降に乗車予定の方等へ向けて参考になれば幸いである。
臨時サンライズ出雲92号は、定期列車よりも約3時間早い15時台に出雲市駅を出る。横浜・東京の翌朝到着まで長時間停車が確実に確保できるとは限らないので、あらかじめ乗車駅の時点で夕食などを買い揃えておいた方が良いだろう。
ダイヤ的には、出雲市駅を先行の特急やくも24号のすぐ後をつける形で発車し、岡山駅手前で1時間後の特急やくも26号に追い抜かれる。(やくも号の運用が変わるダイヤ改正を経たが、時刻を確認した限りその部分は変わっていない。)
現在、定期運転のサンライズ出雲号は原則として下り3番線到着・上り2番線発車なので、1番線という外側入線のサンライズ出雲号は近年では稀である。入線からわずか数分の間だが、乗車する号車によっては出雲市の街並みを車内から眺めることができる。
ちなみにこの日は、出雲市駅出発直後の車内アナウンス終了時点でシャワーカードは売り切れていた。ここ最近・2020年秋に何回か乗車した上りサンライズ号(土曜発)では出雲市駅時点でシャワーカードが売り切れるということはほとんどなかったが、全区間乗車されやすい名物列車であるサンライズ出雲92号では、シャワーカード狙いの乗客が多い可能性も高い。確実に手に入れたい場合には、出雲市駅入線時にあらかじめ3号車or4号車の乗車位置に並んでおく必要があるかもしれない。
サンライズ出雲92号の特徴として、まだ夕方のうちに山陰を出発するということが挙げられる。年末年始の日が短い時期の運転でも、宍道湖付近を日没前に通過するため、天気次第では美しい夕日が車内から拝めるかもしれない。
さて、米子を過ぎたあたりまでは順調に進んでいたが、途中の江尾駅で予定より15分以上停車していた。これは本来のダイヤではなく、後から流れた放送によると車両の確認を行なっていたとのことだった。
サンライズ出雲号が通る山陰本線・伯備線は単線区間のため、1列車が15分ほど遅れると、当初から列車交換の駅を変更するなどして、他の列車への影響を少なくすることがある。特に一番遅れるべきでないのが上り岡山行きの特急やくも号で、岡山から新幹線等への接続が重要な列車である。
そんな後続のやくも26号への影響を少なくするためなのか、本来はサンライズ出雲92号が倉敷-岡山間の運転停車中にやくも26号に追い抜かれる予定が、まだ鳥取県内の上石見駅で早々に26号を先に通すことになった。
その後、乗車していたサンライズ出雲92号の遅延は拡大し続け、最大で50分以上の遅れとなった。その後、本来の運転停車分が短縮され岡山発車時点では35分遅れ、さらに回復運転が行われ、大阪駅には約10分遅れで到着した。
大阪駅は本来14分程度の停車時間が設けられているが、この時はそのまま停車時間を短縮する形で、定刻で出発となった。
停車時間が本来の14分であれば、駅構内の売店に寄ったり対向ホームからサンライズ出雲92号の写真を撮影することもできたかもしれないが、停車時間が5分程度となったので、11番ホーム上の乗車車両に近い場所に出てみる程度とした。
今回のケースに限らずだが乗り遅れてしまっては一大事なので、予定外の事態があった場合にはとにかく発車時刻に関する車掌・駅員の放送を意識しておく必要がある。
大阪を出発すると、車内放送一旦終了を案内する放送が流れた。次の「停車駅」は翌朝の横浜。実際には乗務員交代でいくつかの駅には運転停車しており、米原・熱田・豊橋・浜松あたりに停車したのを覚えている。
横浜到着の少し前に目が覚め、また到着案内の放送が流れた。大阪発車以降は概ね定刻で運転されていた模様である。
せっかくの機会なので終点の東京まで乗車することも考えたが、この時は旅行疲れもあったので、最速帰宅優先で横浜で下車した。まだギリギリ5時台のことであった。
横浜・東京到着は定期のサンライズ号よりも50分近く早い時間であるが、始発の出雲市駅は3時間以上早い出発のため、乗車時間は定期列車よりも2時間ほど長くなっている。そのため、少しでも長い時間寝台列車に乗車していたい方にはオススメな列車となる。
サンライズ出雲92号は年6〜7回程度の運転となる貴重な列車であり、ほとんどの日程で即完するほどの人気列車である。今回は時勢的にそこまで強くお勧めできない面もあるが、山陰方面への帰省・観光時に利用する列車の選択肢の一つとしていかがだろうか。
*1:冬の増発列車のお知らせ(2020/10/16 JR東日本)
*2:2020年冬の臨時列車運転のご案内(2020/10/16 JR西日本 岡山支社)
*3:2020年冬の臨時列車運転のご案内(2020/10/16 JR西日本 米子支社)
*4:寝台特急「サンライズ出雲91号、92 号」運休のお知らせ(2020/3/24 JR東日本)