9年前の2011年3月5日、東北新幹線E5系はやぶさ号がデビューした。
ちょうど東北地方への旅行から帰京する予定の日だった筆者は、新青森18:14発はやぶさ6号の切符をえきねっと事前予約で確保し、乗車した。本記事では、簡単にその時のことを振り返ってみたい。
はやぶさ号に始発から乗車するため、盛岡方面から東北新幹線で新青森に降り立った。前年12月に延伸開業したばかりだったので、八戸-新青森間は初乗車でもあった。
時間があったので、さらに青森駅まで足を伸ばしてみた。青森駅でも上記写真のようにE5系はやぶさ号デビュー告知の幕が掲示されていた。
今考えれば、青森駅から特急1本で函館駅に行けたし、直前(2010年12月)の東北新幹線延伸前であれば八戸駅へも特急1本で繋がっていた。新幹線駅設置場所に関する難しい問題でもある。
そしてすぐ新青森駅に戻る。
はやぶさ号登場時、新青森駅コンコースの発車標では列車名が緑色で表示されていた(現在はオレンジ色)。
デビュー時点でのはやぶさ号は、東京⇔新青森2往復、東京⇔仙台1往復の上下線合わせて6列車のみの設定であり、また6列車全てが上野駅を通過していた。なお登場時の6列車のスジは、速度向上や新青森発着→新函館北斗直通化などの変化がありつつも、上野通過の最速達列車として2020年現在もほぼ丸々引き継がれている。
はやぶさ号入線前、新青森駅12番線にはE2系が停車していた。はやぶさ6号の後に発車するはやて号である。
はやぶさ号運転開始時点ではまだ基本だったE2系の新青森乗り入れだが、E5系の急速な投入ではやぶさ号が主流となったこともあり、2013年3月のダイヤ改正でE2系は早くも定期運用として盛岡以北に来ることは無くなってしまった。現在E2系が新青森に乗り入れるのは、多客期運転のごく一部の臨時はやて号のみである。
発車10分ほど前になり、新青森駅13番線にE5系が入線した。ホーム上は報道陣を含む撮影者で溢れかえっており、あまり満足に車両写真の撮影はできなかったが、とにかく新幹線といえば白色や銀色ベースというイメージがあった当時に緑ベースの塗装というデザインを生で目にしたこの瞬間は心惹かれた記憶がある。車内の照明も(当時の他の車両に比べて)暖色系で落ち着くものであった。
またN700系で既に導入されていたとはいえ、号数や途中停車駅(スクロール)の表示もされた大きな行き先表示幕にも未来を感じたものだった。東北新幹線系統にも(E2系の改造を含め)続々と導入されるものではあったが、この時点での驚きは大きかった。
普通車指定席(冒頭の切符で示したように8号車のE席)に乗車し、真っ暗な車窓を眺めていたらあっという間に東京駅に着いた。当時最速の3時間10分だった。(現在はさらに2時間59分まで短縮されている。)
はやぶさ6号の乗客以外も含め、やはりホームには多数の見物客・撮影客で溢れかえっていた。
車両先端(10号車側)を1両分ぐらい離れた位置からズームで撮影することができた。数年後にはいくらでも見られるようになった車両だが、1日3往復で初日も初日となるとさすがに人が集結しない訳も無かったようである。
東京駅に到着したはやぶさ6号は、折り返しはやぶさ5号仙台行きとして運転される。2020年3月改正後の列車名で言うところのはやぶさ44号→はやぶさ47号と同じ流れである。
デビュー当時は1日3往復であったが、今となってははやぶさ号が東北新幹線の主力列車となり、やまびこ号(特に盛岡発着)やなすの号にもE5系が多く投入されている。
東北新幹線の新時代は、9年前のこの日から始まっていたと言うこともできるであろう。