2010年代のJR廃止路線を振り返ってみる(岩泉・江差・増毛・三江・夕張)

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本日5月7日付で、JR札沼線北海道医療大学-新十津川間が正式に廃止となった。実際には緊急事態宣言下という時勢の影響もあり、同区間は3週間前の4月17日(金)で運転終了となっていた。自分は2017年4月時点でJR完乗を達成しており今回廃止された区間にも乗車していたものの、暗い時間の乗車だったため改めて訪れたいと思っていたが、叶わずとなってしまった。(このような事態でなくとも廃止3ヶ月前の時点で撮影客などが集中していたことも考えると、昨年までに訪れておくべきだったかもしれない。)事態が落ち着いた頃に、札沼線電化区間の乗車あるいは廃線跡めぐりをしてみたいと思う。

さて、JRの廃止区間といえばこの10年の間で他にも5区間ほど存在している。本記事では、それらの路線を訪問した時の写真を用いて、個人的な想い出をごく簡単ではあるが振り返ってみたい。

JR岩泉線:2010年運休、2014年廃止

JR岩泉線岩泉駅の駅名標(2008/9/6)
岩泉駅に停車中のキハ110形普通茂市行き(2008/9/6)
JR岩泉線岩泉駅駅名標と、キハ110形普通茂市行き(2008/9/6)

岩手県の茂市-岩泉間を結んでいた岩泉線茂市駅を通る山田線も運転本数が少ないが、岩泉線の運転本数は1日3往復(+区間運転)とさらに少なく、名実ともに秘境路線であった。

2008年に訪れる機会があり乗車できたものの、その後2010年7月末より災害で運休となり、復旧することなく2014年4月1日付で正式に廃止となってしまった。秘境駅として有名であった押角駅は、その後の災害も重なりホームがあった場所へは到達不可能となっているようだ。

JR江差線(木古内-江差間):2014年5月廃止

JR江差線江差駅の駅舎(2007/2/16)
江差駅に到着したキハ40形(2007/2/16)
JR江差線江差駅の駅舎と、江差駅に到着したキハ40形(2007/2/16)

JR江差線というと厳密には「五稜郭-江差」間を指していたが、このうち木古内-江差間が2014年5月に廃止となった。なお「JR江差線」としては、五稜郭-木古内間も2016年3月の北海道新幹線開業時に道南いさりび鉄道に移管となっている。

2007年に初めて北海道を訪れた際に早速乗車した区間であったが、この時は単純往復しかできなかった。改めてバス等で江差を訪れて観光してみたい。

JR留萌本線(留萌-増毛間):2016年12月廃止

JR留萌本線増毛駅の終着駅看板(2016/9/21)
増毛駅に到着したキハ54系(2016/9/21)
JR留萌本線増毛駅の終着駅看板と、増毛駅に到着したキハ54系(2016/9/21)

留萌本線に存在していた留萌から先の区間である。2010年の新十津川訪問後の深夜帯に1回乗車した後、改めて廃止3ヶ月ほど前の日中に訪問し、増毛に2時間程度滞在した。シルバーウィーク期間中の平日であったが、列車内や増毛駅周辺は観光客が多かった印象がある。

増毛駅は現在観光施設になっているとのことで、改めて沿岸バス等で訪れてみたい場所である。

JR三江線:2018年廃止

江津本町駅を出発したキハ120-357普通浜原行き(2016/4/17)

江津本町駅を出発したキハ120-357普通浜原行き(2016/4/17)

島根県江津駅広島県の三次駅を結んでいた路線である。江の川沿いをずっと走るローカル線であった。

個人的に江津市は毎年のように訪れていたものの、三江線自体は学生時代に一度乗車して以降、2度の豪雨災害などもありなかなか乗車できず、ちゃんと乗車したのは廃止決定前後からとなった。結果的に、2016年に2回ほど江津-江津本町間を乗車した他、三江線廃止直前の1年間に数回訪れる形となった。(三江線については、改めて何本か記事できればと思っている。)

石見川本駅に停車中のキハ120系3両混結編成江津行き(2018/3/17)

石見川本駅に停車中のキハ120系3両混結編成江津行き(2018/3/17)

三江線の廃止間際の特徴として、廃止2週間前のダイヤ改正で「増発」*1が行われたことが挙げられる。また、他線区から持ってきた車両を増結し、普段の三江線でみられなかった色のキハ120も三江線を走行した。増発や増結を行った上でも、全区間運転する列車が非常に少なく、一部列車に乗客が集中し乗り切れないこともあった。

この頃から廃止路線に注目するファン・観光客の人口が一段と増え始めたためか、廃止直前に増発するというケースも多くなった気がする。

JR石勝線(夕張支線:新夕張-夕張間):2019年廃止

雪の日の夕張駅駅舎(2015/1/10)
夕張駅に到着したキハ40系夕張支線普通列車(2015/1/10)
雪の日の夕張駅駅舎と、夕張駅に到着したキハ40系夕張支線普通列車(2015/1/10)

はまなす北斗星の乗り納めを兼ねた北海道旅行の際に夕張を訪れた。雪の積もる時期であった。

訪問時点では夕張支線にも1日9往復程度の列車が走っていたものの、廃止を見込んで2016年には1日5往復の運転となっていた。しかし廃止直前の2週間は全便臨時列車扱いで1日8往復に増発となった。

 

 

改めて振り返ると、JR完乗を目指した(達成した)ことにより結果的に乗車している路線こそ多いものの、特に完乗後はどの場所でもゆっくり観光や沿線歩きをしたいものだと感じるようになった。あまり廃止云々に行動を左右されすぎてもとは思うが、せめて自身と縁が近い場所だけでも今のうち(もちろん自粛期間が明けて以降)に訪れたり、あるいは鉄道路線の有無や廃止前後にかかわらず訪れていきたい。

*1:ダイヤ上の実態としては、区間運転の列車のスジを繋げて全区間運転の列車にするというものであった。