【2021春改正】3/13相鉄(2)8両編成の列車が倍増!?日中は8両優等頻発、平日夕ラッシュには減便された各停6本連続8両も

星川駅2番線を通過中の10706F(8両編成)特急海老名行き(2020/11/15)

星川駅2番線を通過中の10706F(8両編成)特急海老名行き(2020/11/15)
ダイヤ改正後は、8両編成の特急を見かける機会も格段に上がりそう…?

先日発表された相鉄の2021年3月13日ダイヤ改正について、概要レベルでもプレスリリース通り盛り沢山な内容であるが、同日に公開された相鉄線内の詳細な時刻表をよく読むと、プレスリリースでは触れられていない変更点・新規列車などにも気付くことができる。

本記事では、前回の記事で触れなかった内容として「8両編成で運転される列車が現ダイヤと比べて倍増している」という点について考察してみたい。

8両編成で運転される列車、1日約20〜30本から約40〜60本へ倍増

ゆめが丘駅1番線に停車中の10706F各駅停車湘南台行き(2020/7/19)

ゆめが丘駅1番線に停車中の10706F各駅停車湘南台行き(2020/7/19)

相鉄の車両には10両編成と8両編成があり、現時点では在籍している車両の大半が10両編成であるが、10000系のうち5編成が8両編成となっている。将来的には、東急線に直通する車両(20000系予定)は原則8両編成になるものと思われる。

そんな背景もあり、間もなく20000系の8両編成の新車が投入されるであろうことも影響しているのか、本ダイヤ改正において8両編成で運転される列車が急増する。

具体的に、現在公開されているポケット時刻表で「8両」編成で運転される列車数(運転区間は問わない)をカウントしてみたところ、以下の表の通りになった。

  2019/11改正 2021/3改正
 平日下り  32本  61本
 平日上り  30本  58本
 土休日下り  24本  47本
 土休日上り  23本  48本

多少集計ミスをしている可能性もあるので詳細な値はあくまでも参考値として見ていただきたいが、今回のダイヤ改正8両編成で運転される列車がほぼ倍増されることが分かった。時刻表をパッと見るだけでも「8両」の表記は明らかに増えた印象があり、また少なくとも具体的に以下の大きな特徴がある。

・日中の8両編成運用が、3〜4運用→4〜5運用(推定)と拡大

・夕ラッシュ時以降に8両編成で運転される列車が、現在は日中に比べて減るが、ダイヤ改正後はむしろ一時的に増える

8両編成で運転される列車

二俣川駅1番線に到着する10706F(8両編成)特急海老名行き(2020/10/18)

二俣川駅1番線に到着する10706F(8両編成)特急海老名行き(2020/10/18)

ここでは特に以下の4つの時間帯について、8両編成で運転される列車の例を紹介する。

平日朝ラッシュ:各停が基本も、平日湘南台6:49発の通勤特急も8両編成

優等列車の需要が特に高いのもあり、平日朝ラッシュ時(特に上り)は主に各駅停車にのみ8両編成が充当されている。例外的な列車を挙げるとすれば、この改正でピーク時を避けて設定されることになった通勤特急のうち湘南台6:49始発が8両編成と設定されている。なおこの列車は、二俣川で先行の湘南台始発の8両編成各停と接続し、西谷でJR直通特急の接続を受ける。若干混みやすいダイヤとはなっているが、ピーク前なら大丈夫という判断であろうか。

ピーク時間帯を外れれば優等列車にも8両編成が充当されており、例えば平日朝の最後の急行となる横浜10:13発急行海老名行きは8両編成で運転される。

平日日中:横浜発下り優等・各停・優等の3本連続8両編成が発生

平日日中は、8両編成で運転される列車の時間帯が極端に偏る傾向が見られ、「11:18(快速海老名)、11:20(各停湘南台)、11:30(特急海老名)」「12:48(快速海老名)、12:50(各停湘南台)、12:58(快速海老名)」などのように横浜駅を発車する列車が3本連続で8両編成というケースも約1時間半おきに見られる。その折り返しとなる上り列車でも、連続4本のうち3本が8両編成となる時間帯がある。上下線とも、二俣川駅で接続する両列車が8両編成、というケースも珍しくないようだ。

おそらく、後述の夕ラッシュ時間帯に各駅停車が8両編成がなるように運用が組まれていると考えられるが、それを繋げた結果なのか、日中は8両編成の運転時間帯が極端に偏る結果となった。もっとも、日中に列車が大混雑することは考えられにくいので、今後東急直通向けに8両編成を多く投入しなければならない事情を考えても「8両編成でも輸送力が足りるか」が確かめられる機会にはなるかもしれない。(もっとも、東急直通開始後は20000系8両編成は主に直通向けに充当されると思われるが。)

土休日日中:主に優等、特に特急の半数以上が8両編成化!

土休日の日中の8両編成は5運用程度になると思われるが、その内訳は優等4(海老名方面)・各停1(湘南台方面)と見える。相対的に需要が多いであろう海老名方面の優等列車を中心に8両編成が充てられる結果となった。その時間帯もやや偏っており、横浜発「13:08特急、13:18快速、13:28快速」のように優等が3連続で8両編成というケースもしばしばある。

また特に、特急が8両編成となる場合が多く、横浜を9:08〜17:08に発車する計18本の特急海老名行きのうち半数である9本が8両編成で運転される。特にお昼頃は若干8両編成の確率が上がり、「11:58発、12:38発、13:08発」と特急が3本連続で8両編成となっている場合もある。また上りでも海老名を9:25〜16:03に発車する計15本の特急横浜行きのうち8本が8両編成となっている。

平日夕ラッシュ:10分毎に減便された下り各停、6本連続で8両編成も!

ある意味一番特徴的なのは、平日夕ラッシュ(下り)である。本改正で夕ラッシュピーク時(17〜19時台頃)の各駅停車は20分サイクルに3本→2本と大幅減便(優等列車に転化)された上で、この時間帯の半数以上の各停は8両編成となる。特に、下り横浜18:21発〜19:10発は6本連続で8両編成である。

横浜から主に二俣川以西への優等始発(着席)需要を考えると、夕ラッシュ時の優等列車はできるだけ増やした方が全体的に利便性が高まり、またその優等列車に8両編成を充当するわけにもいかないので、この変更自体は理解できる面も大きい。ただ、夕ラッシュピーク時の下り各駅停車の乗客密度は単純計算で1.5〜2倍弱(減便1.5倍×(元々10両編成なら)1編成あたり1.25倍)になるので、特にこの時間帯の横浜から上星川までの各駅停車のみが停車する駅への移動に際しては、着席倍率の増加などを覚悟しておいた方が良いかもしれない。

当面(20000系8両編成の増備が進むまで)は10両編成の代走も多い?

二俣川駅2番線に到着する20106F各駅停車湘南台行き(2020/12/20)

二俣川駅2番線に到着する20106F(10両編成)各駅停車湘南台行き(2020/12/20)

ここまで「8両編成で運転される列車が増える」という話をしてきたものの、実は「直近では10両編成で代走される運用も多い」のではないかと考えられる。

2021年1月現在、相鉄の8編成は10000系のうちの5編成(10703F〜10707F)のみである。にもかかわらず、平日夕ラッシュ時には明らかに8両編成の運用が6運用以上存在する(横浜駅を1時間に6本の8両編成の各駅停車が発車)。このことと、現在でも8両編成運用に偶に10両編成の車両が走る(逆はあまりない)ことを考えると、少なくとも20000系8両編成の増備が始まる・進むまでは、頻繁に10両編成による代走が発生するものとは思われる。(あるいは勝手な想像だが、既存編成・例えば8000系の置き換え対象車の8両化なども一時的に発生したりするのであろうか…?)

ちなみに公にされている値としては、次年度に20000系の8両編成が9編成投入される計画*1となっている。10000系にこのまま変更がなければ計14編成が8両編成として在籍することになる。その頃になれば、8両編成はむしろ余るほどになるであろうか。

まとめ

以上、今春のダイヤ改正における相鉄の8両編成運用の増加について、時刻表に一通り目を通した時点で分かることをいくつか記してみた。

相鉄は次年度、東急直通に向けて20000系8両編成が大量に投入され始める見込みであり直通開始までは8両編成が過多気味になると考えられ、おそらくその影響が8両編成の列車の増加という形で現れたのではないかと考えられる。

8両編成として走る列車の設定にはやや偏りが見られるが、その影響がどれほど出るのかなど、ダイヤ改正後も引き続き注目していきたいと思う。