昨日2019年12月13日(金)、JRをはじめとした各鉄道事業者の2020年春ダイヤ改正のプレスリリースが公開された。JRおよび関係各社については、基本的に2020年3月14日(土)が改正日となる。
本記事では、さっそくJR東日本のいくつかの特急・新幹線について、新ダイヤ情報をもとに簡単な考察・予測を行いたい。
伊豆方面(サフィール踊り子号・E257系踊り子号設定)
JR東日本のプレスリリースにて、新登場のサフィール踊り子号の運転時刻が提示された。また鉄道新聞経由で公開されたJR東日本横浜支社のプレス詳細によると、E257系で運転される踊り子号の時刻も判明した。
それら新型車両で運転される踊り子号の時刻をまとめると、以下のようになる。
下り
列車名 | 踊り子7号 | サフィール 踊り子1号 |
サフィール 踊り子3号 |
サフィール 踊り子5号 |
踊り子15号 |
---|---|---|---|---|---|
車両 | E257系 | E261系 | E261系 | E261系 | E257系 |
運転日 | 毎日 | 毎日 | 臨時(平日) | 臨時(土休日) | 毎日 |
新宿 | − | − | − | 12:25 | − |
東京 | 10:00 | 11:00 | 12:30 | − | 13:00 |
伊豆急下田 | 12:41 | 13:29 | 15:30 | 15:30 | 15:44 |
現在類似スジ | 踊り子107号 | SVO5号 | マリン79号 | マリン79号 | SVO7号 |
上り
列車名 | 踊り子4号 | サフィール 踊り子2号 |
踊り子18号 | サフィール 踊り子4号 |
---|---|---|---|---|
車両 | E257系 | E261系 | E257系 | E261系 |
備考 | 毎日 | 毎日 | 毎日 | 臨時 |
伊豆急下田 | 9:51 | 14:12 | 16:02 | 16:30 |
東京 | 12:32 | 16:49 | − | 19:20 |
池袋 | − | − | 19:05 | − |
現在類似スジ | SVO2号 | SVO8号 | SVO10号 | マリン76号 |
サフィール踊り子号は1日あたり定期便1往復+臨時便1往復の構成で、新宿には土休日の下り臨時列車のみ乗り入れる。E261系は2編成しか製造されていないので、4編成ある251系を用いたスーパービュー踊り子号の定期便3往復+臨時便の体制と比べると少ない本数にはなる。運転時刻としては、現在のスーパービュー踊り子号のダイヤまたはその前後30分のスジをなぞるような形になっている。
またE257系運用の踊り子は1日2往復(+臨時便)である。現在のスーパービュー踊り子号と同じスジを走る列車も多く、このうち上り1便は新宿方面池袋行きとなっている。
さらに横浜支社のプレスを見ると、湘南ライナーは一部列車で車両を変更して同じようなダイヤで運転されるようである。折り返し新宿始発のスーパービュー踊り子3号となっていたおはようライナー新宿26号は185系10両編成での運転になっており、ダイヤ改正後も折り返し新宿始発の踊り子号となる可能性もありそうだ。
これらのことから、スーパービュー踊り子撤退後も、全体的にある程度現ダイヤを引き継ぐような列車設定になることが予想される。
なお、今のところ修善寺方面の列車には言及されておらず、2020年3月改正時点では185系で今までと同様に運転されると考えられる。修善寺にE257系が行くのか、それとも修善寺系統が廃止になってしまうのか、今はまだ分からない。
中央線特急(富士回遊号増発、号数変更、おうめ号増発)
中央線方面の特急の運転形態が刷新されて1年、さっそく利用実態に合わせていくつか修正が入ることになった。JR東日本のプレスリリースの巻末に詳細な時刻表が掲載されている。
まず、比較的混雑していた富士回遊号の定期列車が1日2往復から3往復に増発となった。新ダイヤでいうところの富士回遊3号(千葉6:38、新宿7:30→河口湖9:21)、富士回遊44号(河口湖16:51→新宿18:43)がそれにあたる。この2列車は、既存便のようにかいじ号ではなく、松本発着のあずさ号に連結する形で運転される。
また、前改正であずさ号全列車が塩山・山梨市・石和温泉を通過するようになっていた*1が、上記富士回遊号と連結する列車を含め上下2本ずつあずさ号が再び3駅に停車するようになった。
富士回遊号と連結になった影響かは不明だが、千葉始発のあずさ3号は南小谷行きではなく松本止まりとなった。その代わり、次の新宿8:00始発あずさ5号が南小谷行きとなっている。また、上りでも南小谷始発の列車が今より1列車分後の設定となっている(あずさ46号南小谷15:01→新宿19:06)。
なお本改正により、あずさ・かいじ号の号数が通しの付番となる。
あずさとかいじで重複する号数が解消され、例えば上り朝に「かいじ2号、あずさ2号、あずさ4号、かいじ4号、あずさ6号、かいじ6号…」という間際らしい列車順序だったのが解消される。一方、主にかいじ号のみ停車する駅で「11号の次が15号」「15号の次が23号」のようになる。
また既に一部で話題になっているが、2号がかいじ号に割り当てられた影響で「あずさ2号」が姿を消すことになる。(未検証だが、スーパーあずさ2号の時代も含めると消滅は初だろうか?)なお、「(新宿下り)8時ちょうど」のあずさ5号は本改正で南小谷行きとなった。
ライナーの後継として設定された平日のみ運転の「はちおうじ号・おうめ号」についても1件変更があり、東京18:30発・新宿18:45発の列車がはちおうじ号からおうめ号に変更となる。元々下り青梅ライナーが3本設定されていたのに対しておうめ号が新宿22:30発の1本だけになっていたのを考えると、ある意味当然のおうめ号増発とも言える。一方、はちおうじ号は1本減便となるが、旧中央ライナー時代と同本数に戻る・立川まではおうめ号が利用可能・(東京発着のものを含め)他のあずさ・かいじ号でも代替可能、という面もあり致し方ないだろうか。
東北新幹線(はやぶさ号増発・新函館北斗行き時刻変更)
東北新幹線は、東京⇔新青森間で3往復、また仙台-青森間で下り1本が増発される。関係各支社のプレスリリースにて増発便や時刻変更のついての記述がある他、さらに秋田支社のプレスリリースの巻末には新青森発着のはやぶさ・はやて号の全時刻が提示されておりダイヤの全体像がわかる。
上り3本については、既存ダイヤに計3本(朝・昼・夕方1本ずつ)を単純増発したような形であり、前後の列車間隔の真ん中あたり(既存はやぶさ東京毎時04分着に対して44分着・32分着)に挿入されている。
一方で、下り午後の増発・時刻変更法が特徴的である。東京14:20、15:20、16:20発のはやぶさ号に対し、続行運転するような形で東京14:28、15:28、16:28発のはやぶさ号が設定(増発・時刻変更)される。またこの時間帯の新函館北斗行きは東京14:28、15:28発という後追い側の列車に設定されることになった。*2
この時間帯のはやぶさ号は東北方面に夕方着、また新函館北斗で最終便に近い北斗号に接続する列車であり、日によっては特に需要も高かったものと思われる。東京発8分続行、また新函館北斗行きを後の列車とすることで、特に北海道方面の利用客が座席を確保しやすくなり、今まで通り新青森までを利用する乗客は今まで通りの時刻の速達便を今までよりも空いた列車として利用することができる。
なお、新函館北斗行きは午前中にも変更があり、東京10:20発の便ではなく10:44発(はやぶさ19号)の便が新函館北斗行きとなる。これにより、前後の新函館北斗行き(東京9:36発、12:20発)と若干等間隔寄りになり、また一ノ関停車の新函館北斗行きが誕生することになる。
東京10:44発(はやぶさ19号)、東京14:28発(はやぶさ29号)については、東京発とともに新函館北斗着も後ろ倒しになるが、新函館北斗での北斗号への接続時間が短縮されるというメリットがJR北海道のプレスリリースに記載されている。一方で東京15:28発(はやぶさ33号)については、それまで停車していた盛岡-新青森間の各駅への停車を先発の15:20発(はやぶさ31号)に譲るため総所要時間は短縮され、新青森以北の時刻は特に変わらない。
(※1/17追記)東北新幹線新ダイヤについてのより詳細な分析は、こちらの記事もご参照いただきたい。
まとめ・その他
以上、2020年春にダイヤ改正されるJR東日本の特急・新幹線の主要な変更に対して、現段階で分かる範囲での分析・考察を行った。
来春改正のトピックスとしては、他にも「東京都内-仙台市内間を結ぶ特急の復活」が挙げられるが、全線運転開始日は今の所発表されておらず、特急列車の詳細についてもそちらを待っての発表となりそうだ。
さらなる情報が揃い次第、JR東日本にかかわらず他の地域についても考察を行っていきたい。