相鉄直通の最終列車を寝過ごしても武蔵小杉に戻れるか?【2020年時点/終電繰り上げ後はどうなる?】

(※12/16 東急の終電時刻発表に伴い、来春以降の見通しについて一部追記を行いました。)

相鉄・JR直通線の開業から1年が経過した。相鉄直通列車運転開始の意義の一つには「新宿-武蔵小杉間の直通列車の増発」が挙げられ、朝ラッシュ時の湘南新宿ライン武蔵小杉駅ホームの混雑緩和に寄与した他、新宿方面から武蔵小杉(その先相鉄方面)へ直通する最終列車が湘南新宿ラインよりも後に設定され、約15分*1も遅くなっている。23時台の設定なのでそれでも早い時間帯ではある一方、来春のダイヤ改正でも相鉄・JR直通列車自体は特に終電繰り上げは行われない模様だ。

さて、昨年このダイヤを知った時に、武蔵小杉駅の一利用者として一つの疑問が湧いた。「相鉄直通の最終列車に乗車して寝過ごしてしまった場合、武蔵小杉に戻れるのだろうか…?」

本記事では、相鉄直通の最終列車で一旦相鉄方面に向かった後に武蔵小杉駅に戻れるかどうか、について検証してみたい。また、現時点でわかる範囲で、来春のダイヤ改正で行われる予定の各路線の「終電繰り上げ」の影響についても言及してみたい。

(なお本記事で実際に乗車した時の様子も紹介しているが、実施したのは2020年1月上旬(国内での感染症確認よりも前)であることを念のため明記しておく。)

相鉄直通最終列車は新宿駅3番線23:14発

新宿駅3番線に入線した相鉄直通最終列車(2020/1/9)

新宿駅3番線に入線した相鉄直通最終列車(2020/1/9)

新宿駅から相鉄に直通する最終列車は、相鉄から直通する最終列車の折り返しとして新宿駅3番線に入線する*2。23:09入線・23:14発車と、若干慌ただしいスケジュールにはなっている。

平日夜(コロナ禍前)の最終列車ということで、より利用客の多い改札(東口・西口側の地下改札)に近い1号車側は、新宿の時点で座席が埋まり立ち客も出ている状態であった。(先頭渋谷方10号車側は、よほど夕ラッシュ時のピークでなければ新宿発車時点で座席が埋まるほどでは無いとは思われる。)

武蔵小杉(23:35発)を降りずにスルー

武蔵小杉駅でドアが閉まった直後の車内ディスプレイ(2020/1/9)

武蔵小杉駅でドアが閉まった直後の車内ディスプレイ(2020/1/9)

相鉄直通の最終列車は、武蔵小杉に23:35に到着する。湘南新宿ラインの最終は(新宿22:58発)武蔵小杉23:18着なので、15分以上も直通列車の終電が伸びたのだ。なおその列車を逃したとしても、山手線品川経由横須賀線*3、さらには渋谷から東横線経由*4など、武蔵小杉に帰ること自体はもう少し後の時間帯でも可能である。

さて今回気になるのは、うっかり武蔵小杉で降りそびれてしまった場合である。ここでこのまま海老名行きに乗り続け、相鉄線方面に向かってみる。果たして、武蔵小杉に戻ることは可能だろうか?

羽沢横浜国大で降りて良いか?

羽沢横浜国大駅の下り終電は23:54発。上りは既に終了している。(2020/1/9)

羽沢横浜国大駅の下り終電は23:54発。上りは既に終了している。(2020/1/9)

相鉄直通列車の武蔵小杉の次の停車駅は、新規開業した羽沢横浜国大駅である。23:51頃到着、乗務員交代・時間調整の後23:54発となっている。

さて、この駅で下車して折り返し武蔵小杉方面に戻れるかというと、答えはNOである。先述の通り、相鉄方面からJRへの直通列車は22時台(羽沢横浜国大駅は22:33発)で終了しているため、同じ経路で戻るようなことはできない。よって、このまま直通列車に乗車して西谷駅で横浜方面の列車に乗り換えるのが、鉄道のみを利用する場合の実質的な唯一解となる。

なお羽沢横浜国大駅で下車した場合でも、タクシーに乗車することができれば当然戻ることは可能である。武蔵小杉駅が目的地の場合、東横線菊名駅あたりまでをタクシー乗車とすれば、最低限のタクシー代で下記の経路よりも早い時間(東横線の終電前)に戻ることが可能かもしれない。

西谷で下車して横浜方面へ

西谷から羽沢横浜国大に向かう列車は、23時半頃に終了となっている(2020/1/9)

西谷から羽沢横浜国大に向かう列車は、23時半頃に終了となっている(2020/1/9)

西谷駅には23:57(土休日は23:58)に到着する。武蔵小杉に戻るには、この駅で横浜方面の列車に乗り換えることになる。

24時を回った西谷駅の上り列車発車標(2020/1/9深夜)

24時を回った西谷駅の上り列車発車標(2020/1/9深夜)

10分弱ほどの乗り継ぎ時間で、各駅停車横浜行きは24:05発(土休日24:04発)となっている。この列車を逃すと、上り最終列車である24:22発まで待つことになる。

ちなみに西谷駅ですら降りそびれてしまった場合、ダイヤ上では平日に限り次の鶴ヶ峰駅で下車できれば西谷24:05発の列車に、二俣川駅または希望ヶ丘駅あたりまでに下車できれば(今は)上り最終列車に乗り直すことが可能である。

なお来春予定されている終電繰り上げに関するプレスリリースでは『二俣川→横浜間 20分程度繰り上げ』となっており、現在の24:05発に相当する便が最終列車になるものと思われる。「羽沢横浜国大→相鉄線横浜方面」の終電接続を確保する意味でも、流石にJR直通便から24:05発相当の便への接続は維持されると推測される。

非情にも西谷駅を通過していく急行横浜行き(2020/1/9深夜)

非情(?)にも西谷駅を通過していく急行横浜行き(2020/1/9深夜)
なおこの列車は終電繰り上げ後は見られなくなるかもない…?

ところで平日の場合、西谷駅24:05発の列車を待つ間に、急行が1本通過していくダイヤとなっている。少しでも早く横浜駅に戻りたい状況のため若干悔しい気もするが、深夜帯の乗客数やこの後すぐに各駅停車が来ることを考えれば致し方ない。ただでさえ羽沢横浜国大方面⇔横浜方面というV字乗り継ぎの相互接続はそれほど考慮されておらず、また終電付近で過密ダイヤにするほどの需要も無いためか、西谷駅に停車する快速・特急は終電間際の時間帯には設定されていない*5

なおこの列車は上り最後の急行列車であるため、終電繰り上げ後には上り最終急行自体も繰り上がる可能性がある。

日付変更後に横浜から武蔵小杉に帰るためには…

24時を過ぎると閉鎖されている通路もある(2020/1/9深夜)

24時を過ぎると閉鎖されている通路もある(2020/1/9深夜)

さて、横浜駅には平日24:18(土休日24:17)に到着する。その後、横浜駅から武蔵小杉駅に戻る方法はあるだろうか。 

JR経由での帰宅は、ダイヤ上は不可能…

まず、JRで帰れるかどうかを一旦考えてみたい。

直接武蔵小杉に行ける横須賀線の上り最終列車は、横浜24:05発の品川行きである。この列車には(横須賀線が余程遅れていない限り)間に合わない。

では「川崎まで行って南武線に乗り換える」という経路はどうだろうか。東海道線上り列車は横浜24:07発が最終なので京浜東北線(北行)を利用することになるが、相鉄で横浜に到着するのとほぼ同時・24:18発(川崎24:31着)の上野行きがあり、その次は終電の24:40発(川崎24:53着)の蒲田行きである。南武線最終の武蔵中原行きは川崎駅24:39発なので、横浜24:18発からの接続が最終となる。

つまり、(相鉄で定時到着かつ)最後から2本目の京浜東北線が数分遅れたりしない限りは、南武線に接続する京浜東北線に乗り継ぐことはできない。また京浜東北線側が完全な終電というわけでも無いので、他路線からの接続待ちをする可能性も低いと思われる。

上り列車については来春の終電繰り上げに関する詳細はまだ出ていないので何とも言えないものの、そもそも南武線の川崎からの終電が1本分(約14分)繰り上がるため、横浜駅からその列車に間に合うのはより絶望的と言える。

ちなみに、京急の上り終電も24:14発の神奈川新町行きが既に出発している。こちらも、来春さらに終電が繰り上がる可能性はある。

最後の要は東急東横線

東横線・みなとみらい線横浜駅の初電・終電時刻表(2020/1/9深夜)
東横線・みなとみらい線横浜駅の初電・終電時刻表と、平日24:23時点の発車標(2020/1/9深夜)
東横線みなとみらい線横浜駅の初電・終電時刻表と、平日24:23時点の発車標(2020/1/9深夜)

というわけで、武蔵小杉に帰るには東急東横線を使うことになる。終電間際でも運転本数がそこまで少なくならないので、もう少し早い時間帯だったとしても東横線利用想定が無難かもしれない。

東急東横線上り列車の「武蔵小杉まで行ける」列車の終電は、平日は横浜24:42発(急行)、土休日24:29発(各停)であり、相鉄の24:18頃着から多少の余裕を持って乗り換えることができる。また、武蔵小杉の手前・元住吉行きが上りの真の最終列車であり、こちらは平日24:51発、土休日24:37発となる。

平日であれば少々急げば24:23発の渋谷行きに乗車でき、新丸子以北の駅に(1本で)到達することもできる。また、(24:26発菊名行き・)24:32発急行武蔵小杉行き、24:35発各停武蔵小杉行きも利用することができる。

なお、東横線の終電繰り上げについては「15〜30分程度」と発表されている。上り列車もその範疇となるかは何とも言えないが、その繰り上げ幅によっては来春以降は同時間帯で元住吉までしか帰れないといった事態になる可能性もある。

(※12/16追記)12/16発表のプレスリリース資料(pdf)によると、来春のダイヤ改正で武蔵小杉行きの横浜発が「平日24:11発、土休日24:09発」と繰り上がるとのことであり、この発表通りなら東横線でも武蔵小杉駅に戻れなくなる。また元住吉行き最終も「平日・土休日共に24:23発」なので、接続時間は短いものとなる。上り完全最終は菊名行きとなり「平日・土休日共に24:29発」とのことである。

武蔵小杉駅到着(平日渋谷行き最終で24:42着・その後の急行24:47着)

東横線上り終電1本前で到着した武蔵小杉駅で接続した目黒線最終奥沢行き(2020/1/9深夜)
東横線上り終電1本前で到着した武蔵小杉駅で接続した目黒線最終奥沢行き(2020/1/9深夜)
東横線上り終電1本前で到着した武蔵小杉駅で接続した目黒線最終奥沢行き(2020/1/9深夜)

渋谷行き・菊名行きを見送って横浜駅24:32発の急行に乗車すると、終点の武蔵小杉駅には24:47に到着する。なお土休日の場合は、横浜24:29発・武蔵小杉24:49着が終電となる。

東横線の列車はここまでとなるが、上記列車に乗車できた場合、このあと到着する目黒線最終奥沢行き(武蔵小杉24:50発。あらかじめ始発の日吉で乗り換えることも可能)に乗車することで新丸子・多摩川・田園調布に到達することもできる。

また、JR南武線の下り最終列車(次の武蔵中原止まり)も武蔵小杉24:51発であり、実際に駅構内で終電接続のアナウンスが聞こえた。

なお来春の終電繰り上げ後は、東横線で武蔵小杉まで到達できたとしても目黒線南武線の最終列車の時刻が繰り上がっており接続しなくなる可能性が高い。

まとめ

以上、「相鉄直通の最終列車を寝過ごしても武蔵小杉に戻れるか?」という問いに対し、主に鉄道のみで帰る方法について検討してみた。(※12/16追記)現時点では東横線経由で武蔵小杉(平日は目黒線の奥沢)まで帰ることが可能だが、来春以降は東横線の終電繰り上げに伴い元住吉や菊名までしか鉄道のみでは帰れない見込みだ

本記事では、一つの単純例として「最終列車」で「武蔵小杉駅」が最終目的地の場合について考えてみたが、目的地次第では詳しい状況は異なってくる。例えば、同じく相鉄への直通列車が停車する西大井駅であったり(相鉄直通列車から西大井or武蔵小杉乗り継ぎ想定で)新川崎駅が目的地の場合には、最終列車で武蔵小杉を過ぎた時点で終電までに(鉄道+数分の徒歩だけで)戻るのは不可能となるが、最終の1本前の直通列車を乗り過ごした場合であれば横浜駅横須賀線上り最終に乗り継ぐことはできる。

 

時勢的にも(仕事の繁忙期等以外の理由で)終電間際の時間帯を積極的には利用しづらい状況だが、実際に利用者が減っているのもあり来春繰り上がるという状況を控え、終電繰り上げの詳細が発表されつつあるこのタイミングで一筆執ってみた。今週末に発表されると思われるJR等各社のダイヤ改正詳細等を踏まえて本記事も補足していければと思うが、終電の具体的な時刻については来春の改正前後を問わず各自の利用路線・駅について改めてご確認いただければ幸いである。

参考プレスリリース等

2021年春 首都圏における終電繰り上げ等のお知らせ:JR東日本 (2020/10/28現在 JR東日本)

終電時刻の繰り上げを実施【相模鉄道】 | 相鉄グループ (2020/11/19 相模鉄道)

事業構造を変革し、サステナブルな鉄道サービスを提供します~新しい生活様式にあった価値提供を目指し、終電繰上げやワンマン運転の拡大、CBMの推進などに取り組みます~|ニュースリリース|東急電鉄株式会社(2020/11/10 東急電鉄)

(12/16追記) 2021年3月ダイヤ改正における終電時刻繰り上げの概要について|ニュースリリース|東急電鉄株式会社(2020/12/16 東急電鉄)

2021年春 ダイヤ改正を実施します。 夜間作業時間の確保を目的に、平日の終列車時刻を繰り上げます。 | ニュースリリース | 京浜急行電鉄(KEIKYU)(2020/11/27 京浜急行電鉄)

*1:西大井停車便としては約50分。

*2:当初は相鉄直通列車は終日2番線折り返しだったが、混雑緩和のため1月6日から17時台以降3番線発着に切り替わったばかりであった。なお夕方以降の3番線発着は今でも続いている。

*3:横須賀線の最終は品川23:59発・武蔵小杉24:09着。それに間に合う山手線は所定新宿23:30発である。

*4:新宿24:32発から渋谷24:47発元住吉行き終電で武蔵小杉25:06着。新宿三丁目なら24:37発。

*5:なおJRからの直通列車の終電1本前は相鉄線内特急で、西谷駅で快速海老名行きへの接続もある。