副都心線直通開始前の東急東横線を代表する車両、東急9000系。特にみなとみらい線直通開始前は(一時期の3000系を除いて)東横線で最新の車両であった。
車両形式は違えど当時の東横線のほぼ全車両が「ステンレス+赤ライン」というシンプルな色の組み合わせである中、ラッピングによって独特な映え方をしていたのがTOQ-BOX*1の9006F、9013Fの2編成である。虹と楽器・音符のマークが全車両に施された9006F、シャボン玉の装飾が末端車両に施された9013Fは、似たような色合いの車両が多かった東横線において、子供心には見かけたり乗れたりするとラッキーな列車であった。
本記事では、みなとみらい線直通開始後(2004-2013年)かつ正面に近い駅撮りとはなるが、9006Fや9013Fの写真を何枚か紹介したい。
9006F(虹と楽器・音符)
9006Fの車体前面には「TOQ BOX」の記号やラッパ・音符のステッカーが、また側面にはそれらに加えて虹の装飾が施されている。この写真では見にくいが、2-7号車など中間車両の側面にも装飾があった。
9013F(シャボン玉)
9013Fは、シャボン玉塗装シャボン玉の模様が前面および先頭1・8号車の側面に施されていた。前面に限って言えば、赤い帯を大きく覆うようにピンク色のシャボン玉の装飾が施されており、9006Fよりもラッピング車らしさが出ていたのかもしれない。
塗装が前面のみに(側面塗装無し)
2008年末〜2009年始頃になると、9006Fや9013Fの側面塗装が剥がされてしまった。
剥がされて間もない頃は、側面にシャボン玉塗装の跡が残っていた。
前面塗装も無しに
そして2010年頃、ついに車体前面の塗装も無くなり、他の9000系との分かりやすい見た目の差がほぼ無くなってしまった。TOQ-BOXラッピングが好きだった身としては寂しい限りであったが、後々の転属等いろいろな事情があったのだとは思われる。
9006Fは前面塗装が無くなって早々、5両編成化して大井町線へ転属となった。9013Fは前面シャボンが撤去された後もしばらくは東横線で運用に就き、2012年頃には大井町線に転属となった。
余談:今の東横線と特殊ラッピング車
2004年には横浜-桜木町間の廃止およびみなとみらい線への直通運転が開始され、東横線には新しくY500系や5050系が走るようになった。そして2013年には渋谷駅地上ホーム廃止・副都心線直通開始を機に9000系は東横線を退いた。現在、東横線にはメトロ・西武・東武から5種類(以上)の形式が直通して多彩な車両が走るようになった状態ではあるが、東急(+横浜高速、要するにK運用)の車両に限れば、実質的に5000系・5050系の車両に統一されているとも言える。
では現在の東横線を走る「東急」の車両にTOQ-BOX編成のような見た目の楽しみがないのかというと、「少し違う形で」存在していると言えるのではないかと思う。
5000系・5050系ベースながらも通常とは異なり車両全体に塗装が施されている車両がある。9000系おけるTOQ-BOXと比べて、より分かりやすい差異ではある。
具体的には、Y500系(青ベースの塗装・6編成)、4010F(ヒカリエ号・黄色塗装)、さらに現在の5122F(90周年・全面緑の青ガエル塗装)が挙げられる。