【旅行記】WEST EXPRESS 銀河上り一番列車に3回追いつき、計5駅で撮影してみた

出雲市駅2番線に入線した117系寝台特急WEST EXPRESS 銀河 大阪行き(2020/9/12)

出雲市駅2番線に入線した117系寝台特急WEST EXPRESS 銀河 大阪行き(2020/9/12)
この後、松江・米子・根雨備中高梁の各駅でも見ることができた

この週末に初の運転となった「WEST EXPRESS 銀河」の山陰便。途中停車駅での「おもてなし」や長時間の運転停車が複数回あり、山陰便上り列車については同経路を走る「特急やくも26号〜30号」の3本をはじめとした何本かの列車に追い抜かれる。

今回、そのダイヤを利用して「WEST EXPRESS 銀河上り列車をなるべく多くの駅で撮影(見学)する」という旅程をとってみたので、本記事では写真中心でその過程を紹介したい。

出雲市

出雲市駅の発車標に表示された「WEST EXPRESS 銀河 16:00 大阪」の文字(2020/9/12)

出雲市駅の発車標に表示された「WEST EXPRESS 銀河 16:00 大阪」の文字(2020/9/12)

特急やくも24号が出雲市駅を15:30に出発した後、ついに出雲市駅の発車標に「WEST EXPRESS 銀河」「大阪」の文字が現れた。過去とは運転区間等々いろいろと異なってこそいるが、12年半ぶりに「銀河号の大阪行き」の案内が表示された歴史的な瞬間であったかもしれない。

下り快速アクアライナーが到着し次第、WEST EXPRESS 銀河が発車する(2020/9/12)

下り快速アクアライナーが到着し次第、WEST EXPRESS 銀河が発車する(2020/9/12)

この日は大雨の影響もあり、午前中から昼頃にかけて出雲市以西で多くの運休が発生していたが、WEST EXPRESS 銀河が走る出雲市以東については、夕方には概ね数分程度の遅れというレベルまで回復していた。

WEST EXPRESS 銀河上り便は本来出雲市駅15:53入線・16:00発車予定となっていたが、今回は16:00頃入線、16:05頃発車となった。通常ダイヤと同様、下りの快速アクアライナー益田行きが入線した直後の発車となった。

たくさんの人に見守られながら出雲市駅を出発したWEST EXPRESS 銀河上り一番列車(2020/9/12)

たくさんの人々に見守られながら出雲市駅を出発したWEST EXPRESS 銀河上り一番列車(2020/9/12)

時間帯的なものなのか、午前の下り一番列車到着時と比べるとJR社員や地元の方々、撮影客が心なしか多いような気がした。

出雲市→松江:スーパーおき4号

WEST EXPRES 銀河を追う形で、2本の特急列車が走る

WEST EXPRES 銀河を追う形で、2本の特急列車が走る

さて、旅程的にはここからが本番である。この後に出雲市駅を発車する2本の特急は、松江駅で長時間停車するWEST EXPRESS 銀河を追い越すダイヤとなっているので、これらを利用する。

午前中の時点では運転が心配されたが、益田始発として無事運転され8分程度の遅れで出雲市駅1番線に入線してきた特急スーパーおき4号にまず乗車した。

松江駅に到着すると、目の前には先ほどみたWEST EXPRESS 銀河号が停車中

松江駅に到着すると、目の前には先ほど見たWEST EXPRESS 銀河号が停車中

24分ほどの乗車であっという間に松江駅に到着し、先ほど出雲市駅で見送ったWEST EXPRESS 銀河にさっそく追いついた。

松江駅2番線を発車するキハ187系スーパーおき4号鳥取行き(2020/9/12)

松江駅2番線を発車するキハ187系スーパーおき4号鳥取行き(2020/9/12)

ホームにはそれなりの乗客・見物客がいたため上手く並びは撮影できなかったが、まずはスーパーおき4号の発車を見送った。

松江駅

松江駅に停車中のWEST EXPRESS 銀河と「ようこそ山陰へ」横断幕(2020/9/12)

松江駅に停車中のWEST EXPRESS 銀河と「ようこそ山陰へ」横断幕(2020/9/12)

松江駅ではホーム上でもいくつかの「おもてなし」が行われていたが、特別な横断幕や車両との記念撮影を行う乗客も多く見られた。

雨に濡れた「WEST EXPRESS 銀河」のヘッドマーク(2020/9/12@松江駅)

雨に濡れた「WEST EXPRESS 銀河」のヘッドマーク(2020/9/12@松江駅)

今回の行程において「目の前」で銀河号のヘッドマークを撮影しやすいのは、明るくて停車時間が確実に確保されており撮影客が分散されることになる松江駅だったかもしれない。

松江駅の発車標に並ぶ「特急やくも26号岡山行き」「WEST.EXP.銀河大阪行き」

松江駅の発車標に並ぶ「特急やくも26号岡山行き」「WEST.EXP.銀河大阪行き」

そして松江駅に10分ほど滞在し、数分遅れで後続の特急やくも26号が到着した。

松江→米子:やくも26号

松江駅に到着しWEST EXPRESS 銀河と並ぶ特急やくも26号(2020/9/12)

松江駅に到着しWEST EXPRESS 銀河と並ぶ特急やくも26号(2020/9/12)

到着直前のタイミングでなんとか並びを撮影した上で、一旦銀河を追い抜いて先回りするため、やくも26号に乗車。

この特急やくも26号は、今春のダイヤ改正以降は「パノラマ型グリーン車連結」の該当列車となったのだが、今年度はパノラマ編成の稼働率がやや低めとなっているようで、この日は一般的な見た目の381系であった。山陰運転期間の3ヶ月の間には、パノラマ編成との並びが何度かは実現することであろう。

同じく25分ほど乗車し、米子駅で下車することにした。(行程的には、安来駅で降りる手もある。)

米子駅

米子駅の仮設駅舎の改札口付近に並ぶ「WEST EXPRESS 銀河」のポスター(2020/9/12)

米子駅仮設駅舎の改札口付近に並ぶ「WEST EXPRESS 銀河」のポスター6枚(2020/9/12)

先週9/5(土)より米子駅は仮設駅舎での営業となっていた。その改札口付近には、ポスターが6枚並列されており、また駅の至る所にWEST EXPRESS 銀河関連の装飾があるなど、米子駅でも歓迎ムードの高さが伺えた。

米子駅の発車標に出る「臨時特急 WEST EXPRESS★銀河」「大阪」の文字(2020/9/12)

米子駅の発車標に出る「臨時特急 WEST EXPRESS★銀河」「大阪」の文字(2020/9/12)

米子駅で(出雲市駅でも?)発車標に「大阪」の文字が表示されると、過去に走っていた寝台急行「だいせん」を思い出す。もっとも、だいせん号山陰本線経由であったが。

「海、山、旅のドラマは米子駅から」とWEST EXPRESS 銀河(2020/9/12)

「海、山、旅のドラマは米子駅から」とWEST EXPRESS 銀河(2020/9/12)

そしてしばらく米子駅で待っていると、WEST EXPRESS 銀河が5分ほど遅れて到着した。米子駅はもともと17:38着・17:48発で10分停車の予定であったが、停車時間が短くなり定刻通り17:48に出発した。

米子駅前の広場に展示されているSLのモニュメント(2020/9/12)

米子駅前の広場に展示されているSLのモニュメント(2020/9/12)

次の乗車まで少々時間があったので、買い物等を行うため米子駅前の広場に赴いた。(直接作品等に関係はないらしいが)銀河鉄道を想起させるこのモニュメントをこのタイミングで見ることができて良かったような気がする。

米子→根雨:やくも28号

米子駅1番線に到着した381系特急やくも28号岡山行き(2020/9/12)

米子駅1番線に到着した381系特急やくも28号岡山行き(2020/9/12)

定刻から数分程度遅れて発着した特急やくも28号に乗車した。ちなみにこの「やくも28号」というのは、岡山駅で東京行き最終の新幹線に接続するために、やくも号の約1時間間隔の中で10〜15分ほど早いタイミングを走るダイヤとなっている。

今回乗車した2号車は元・グリーン車仕様で、10番・12番の窓側席が無い

今回乗車した2号車は元・グリーン車仕様で、10番・12番の窓側席が無い

ゆったりやくも」改造後のやくも号車内は、座席幅をとる代わりに座席と窓が一致していないことでもおなじみである。今回乗車した車両は、元・グリーン車で逆に座席数を増やした車両であった。

根雨駅

根雨駅を発車する特急やくも28号と、停車中のWEST EXPRESS 銀河(2020/9/12)

根雨駅を発車する特急やくも28号と、停車中のWEST EXPRESS 銀河(2020/9/12)

定刻18:40を若干過ぎたところで、次の根雨駅に到着、下車する。先行の銀河はこの駅で長時間停車している。

到着時の放送にて「3番線にWEST EXPRESS 銀河が停車中」「雨天のため滑りやすくなっているのでご注意ください」との旨の案内があった。車掌独自の文言かもしれないが、WEST EXPRESS 銀河への歓迎がここでも感じられた。

 

根雨駅で下車すると、地域住民の方々と思われる家族連れを含めた多くの人々がお見送りに駆けつけていた。

根雨駅に停車中のWEST EXPRESS 銀河(2020/9/12)

根雨駅に停車中のWEST EXPRESS 銀河(2020/9/12)

根雨駅というのは、特急やくも号の半数程度(2時間に1本)が停車する伯備線の途中駅である。中国山地の中にあり、岡山や関西・関東と山陰の主要な都市・観光地を往来する乗客はここで下車することは普段はあまりないと思われるが、そのような駅にも停車して地元民との交流が図られることが、WEST EXPRESS 銀河の運行の意義だとも感じられた。

根雨駅3番線に停車中のWEST EXPRESS 銀河号大阪行き(2020/9/12)

根雨駅3番線に停車中のWEST EXPRESS 銀河号大阪行き(2020/9/12)

根雨駅にWEST EXPRESS 銀河が停車するのは18時台後半である。本来の運転開始時期である5月や夏至の頃であれば、この時間帯でもまだ明るかったのかもしれない。

やくも21号が通過して、まもなくWEST EXPRESS 銀河が発車した(2020/9/12)

やくも21号が通過して、まもなくWEST EXPRESS 銀河が発車した(2020/9/12)

通過するやくも21号と交換する形で、WEST EXPRESS 銀河が根雨駅を発車する。発車と同時に数多くの地元の方々や職員が車両に向けて手を振り、そして根雨駅の駅舎に戻ってきた。駅舎内では先ほどまで、銀河号利用者向けと思われる売店が開かれていた。

根雨→生山:普通列車

根雨駅に到着する115系普通列車新見行き(2020/9/12)

根雨駅に到着する115系普通列車新見行き(2020/9/12)

さらに10分ほど待ち、後続の普通列車に乗車した。

このまま終点の新見まで乗車して乗り継いでもWEST EXPRESS 銀河にもう一度追いつくことができるが、途中で特急やくも30号に追い抜かれるので、途中の生山(しょうやま)駅で一旦下車し、後続の特急やくも30号でより早く次の目的地を目指すことにした。

24分ほどの乗車で、3駅先・生山駅に到着した。

早朝に下りWEST EXPRESS 銀河が停車する生山駅構内のポスター(2020/9/12)

早朝に下りWEST EXPRESS 銀河が停車する生山駅構内のポスター(2020/9/12)

この生山駅は、早朝6時頃に下りWEST EXPRESS 銀河が停車し「おもてなし」が行われる駅でもある。よってこの駅でも、以前からWEST EXPRESS 銀河号のポスターが掲示され宣伝が行われていた。

生山駅駅舎内・運行状況の画面(2020/9/12)

生山駅駅舎内・運行状況の画面(2020/9/12)

生山駅で20数分滞在し、数分遅れの特急やくも30号に乗車した。

生山→備中高梁:やくも30号

次の上石見駅で先ほどまで乗車していた普通列車を追い抜き、やくも30号は新見駅に停車する。新見駅で一旦下車する手もあるが、このまま備中高梁駅まで乗車することにした。

この後やくも30号は、井倉駅通過時に運転停車中のWEST EXPRESS 銀河を追い越す。残念ながら今回は車窓の撮影には失敗してしまったが、確かに進行方向右側に停車中のWEST EXPRESS 銀河を見ることができた。

特急やくも30号を備中高梁駅で下車

特急やくも30号を備中高梁駅で下車

そして、WEST EXPRESS 銀河到着前の備中高梁駅に到着した。

備中高梁駅

備中高梁駅の改札付近に掲示された「おもてなし会場」への案内板(2020/9/12)

備中高梁駅の改札付近に掲示された「おもてなし会場」への案内板(2020/9/12)

備中高梁駅は、既に非常に高い歓迎ムード一色であり、また比較的岡山や関西に近い地域だからなのか撮影客もここまでの各駅と比べて多いように感じられた。

会場自体を直接撮影はしなかったが、上記看板の示すように銀河号乗客向けの「お夜食受け渡し会場」や簡単なイベントスペースのようなものが設置されていた。

銀河に合わせて営業時間を延長した高梁市図書館・蔦屋書店内の黒板アート(2020/9/12)

銀河に合わせて営業時間を延長した高梁市図書館・蔦屋書店内の黒板アート(2020/9/12)

備中高梁駅併設の高梁市図書館だが、この日は銀河号停車時間と合わせてか、施設内のスターバックスコーヒーや蔦屋書店の営業時間が延長されていた。街を上げての歓迎ムードが感じられる。

駅前のローソンで買い物を済ませるなどした後、再び改札内に戻ってWEST EXPRESS 銀河の入線を待った。

備中高梁駅2番線に到着したWEST EXPRESS 銀河(2020/9/12)

備中高梁駅2番線に到着したWEST EXPRESS 銀河(2020/9/12)

21:25、ほぼ定刻で備中高梁駅2番線にWEST EXPRESS 銀河が到着した。これが上りWEST EXPRESS 銀河にとって山陰側「最後」の停車駅である。

詳しくは気付いていなかったので撮影もできなかったが、SNS等で得た情報によると、このあと1番線(上り本線)に黄色い117系(山陽本線で運転されている編成)が到着し、しかもこれが銀河歓迎用の装飾がなされたものであった、とのことである。JR西日本の社を上げての歓迎ムードがここでも感じられた。

備中高梁駅の発車標に並ぶサンライズ出雲・WESTEXP.銀河(2020/9/12)

備中高梁駅の発車標に並ぶサンライズ出雲・WESTEXP.銀河(2020/9/12)

祭り囃子の音が聞こえる中、営業運転の普通列車がダイヤ通りWEST EXPRESS 銀河を追い抜いていき、そして備中高梁駅の発車標にもWEST EXPRESS 銀河が現れた。その1本前、銀河をこの駅で追い越していくのが、現存する唯一の定期寝台特急サンライズ出雲号である。山陰発上り銀河運転時に毎回見られることではあるが、夢の共演とも言える並びがこの備中高梁駅で実現する。(なお前日は上りサンライズ出雲号の遅れにより、姫路駅でWEST EXPRESS 銀河下り列車との並びが想定外で実現したとのことである。)

備中高梁駅に停車中のWEST EXPRESS 銀河と、入線するサンライズ出雲号(2020/9/12)

備中高梁駅に停車中のWEST EXPRESS 銀河と、入線するサンライズ出雲号(2020/9/12)

そして定刻2分遅れの21:50、備中高梁駅1番線にサンライズ出雲号が入線し、2本の寝台特急が同一ホームに並んだ。

サンライズ出雲号乗車

理論的には、この後ももう何回か(3回ぐらい?)「先回り撮影」が翌朝の終点大阪駅までに可能といえば可能なのだが、今回はこのままサンライズ出雲号で帰路につくことにした。

サンライズ出雲号は2015年から備中高梁駅に停車するようになったが、特に上り定期列車は原則として停車時間も短く、静かに停車・発車していくイメージの駅であった。しかし今回、WEST EXPRESS 銀河との並びが実現することで、ある意味とても重要な停車駅になった。

乗車したサンライズ出雲号の車内からWEST EXPRESS 銀河を眺めながら発車

乗車したサンライズ出雲号の車内からWEST EXPRESS 銀河を眺めながら発車

真ん中付近の車両に乗車するため頭端での並びの撮影はさすがに諦める代わりに、速やかに部屋まで移動した上で、窓から停車中のWEST EXPRESS 銀河を見送った。銀河号がメインの日ではあるが、ホームからサンライズ出雲号に向けて手を振る乗客や地元の方々も非常に多かった。

 

以上、WEST EXPRESS 銀河の上り一番列車を出雲市・松江・米子・根雨・(井倉通過時・)備中高梁の5駅で目にした様子をお伝えした。

4ヶ月の運転開始延期を経ての初運転ということで、とにかく沿線各所での歓迎ムードが感じられ、乗客や撮影客も含め活気に溢れていた。時世の影響による制約も色々とあるはいえ、久々に以前のような・以前以上の盛り上がりを見せる鉄道イベントに立ち会えた気がする。

山陰での運転は3ヶ月間と短縮され、旅行商品&抽選のため自身が乗車機会に恵まれるかどうかは分からないが、引き続きWEST EXPRESS 銀河が無事運転されていくことを願いたい。