JR線内で見る相鉄12000系(1)〜異色の車両が走るJR区間の今〜

昨年11/30(土)の相鉄JR直通線開業に伴い、JR線内に相鉄の車両として12000系が乗り入れるようになった。直通列車の半分弱は相鉄12000系が担っており、狙うか運が良ければ乗ったり見れたりするぐらいの確率である(具体的には、日中なら5運用中2運用、朝夕は2〜3連続で12000系のタイミングもあれば1時間以上来ないこともある)。開業から約3ヶ月が経過してさすがに徐々に減ってきた印象こそあるが、JR区間で12000系車両が来ると車両デザインや相鉄の話題で盛り上がる乗客を見かけることが今でもある。

本記事では、JR線内で遭遇した12000系の写真を、撮影地ごとに何枚か紹介しつつ、相鉄JR直通列車の現状・利用実感(概ね主観的な印象論で恐縮であるが)にも簡単に触れていきたい。

新宿駅

新宿駅2番線に停車中の相鉄12000系海老名行き(2020/2/23)

新宿駅2番線に停車中の相鉄12000系海老名行き(2020/2/23)

新宿始発の相鉄線直通海老名行きは、日中は2番線、夕方17時台以降は3番線発(1/6〜)で折り返す。時間帯にもよるが、折り返し時間は概ね5〜15分程度である。

よほど帰宅ラッシュ時、あるいはホーム池袋寄りでなければ発車時点で空席も多いため、相鉄方面はもちろんのこと西大井・武蔵小杉への乗客にとっては(少なくとも今の所)狙い目の列車であると言える。

新宿駅3番線に停車中の相鉄12000系海老名行き(2020/1/6)

新宿駅3番線に停車中の相鉄12000系海老名行き(2020/1/6)

2020年1月6日より、相鉄線直通列車の折り返しは17時台以降3番線発着に変更された。これは、埼京線池袋・赤羽・大宮方面の始発待ち乗客が3・4番線ホームに滞留しがちだったため、混雑分散のためによる時間帯の2・3番線の運用を入れ替えた、という経緯である。(詳しくは下に貼った記事もご参照いただきたい。)

相鉄線直通列車の利用という観点では、「とりあえず1・2番線ホームに降りてとりあえず出発が早い方/空いている方に乗る」という利用方法が夕方以降は出来なくなった分、特に新宿発車時の渋谷方先頭車両の空席率はより高くなった印象がある。

tyobi-train.hateblo.jp

渋谷駅

渋谷駅3番線に停車中の相鉄12000系新宿行き(2019/12/1)

渋谷駅3番線に停車中の相鉄12000系新宿行き(2019/12/1)

上り方面は、多くの時間帯で(12000系の通常運用なら必ず)渋谷の次が終点・新宿である。特に16時台以前は(1/5以前は全時間帯で)新宿駅南行ホーム2番線に到着するため、池袋方面へ向かう乗客は渋谷駅のホームで湘南新宿ラインや新木場始発の埼京線を待つ方が乗り換えの手間がかからず、実際にそのようなアナウンスがされることもある。なお、2番線到着の時間帯でも新宿駅でホーム移動し池袋に先着する3番線始発の埼京線に乗り換えることが可能な場合もあり、実際それを狙う乗客の姿もみられるが、日中のパターンダイヤの時間帯だと接続時間は0〜3分程度であり(おそらく接続を前提とされていないことがほとんど)、推奨できる乗換方法とまでは言えない。

渋谷駅4番線に停車中の相鉄12000系海老名ゆき(2019/12/3)

渋谷駅4番線に停車中の相鉄12000系海老名ゆき(2019/12/3)

帰宅ラッシュ以降の時間帯、下り海老名行きは前の方の車両であれば渋谷到着時点だとまだ空席も多い。最も混雑する18-19時台、あるいは年度始めの定期券切り替え時期以降はまだ何とも言えないが、西大井や武蔵小杉に帰る乗客であれば、湘南新宿ラインと比べて圧倒的に空いており、今のところ狙い目の列車であると言える。

恵比寿駅

恵比寿駅4番線に停車中の相鉄12000系海老名行き(2019/12/1)

恵比寿駅4番線に停車中の相鉄12000系海老名行き(2019/12/1)

相鉄直通列車は恵比寿駅にも停車するようになった。

大和や海老名へ行くために相鉄直通列車を使う優位性が(小田急経由が使いやすい新宿や渋谷に比べて)高く、また単純に湘南新宿ラインの増発分として短距離利用に使える列車であるためか、特に通勤ラッシュ時間帯は恵比寿駅での乗降数は割と多く感じる。

大崎駅

大崎駅8番線に停車中の相鉄12000系新宿行き(2020/2/23) 7番線には東京臨海高速鉄道70-000形新木場行きが停車中

大崎駅8番線に停車中の相鉄12000系新宿行き(2020/2/23)
7番線には東京臨海高速鉄道70-000形新木場行きが停車中

大崎駅はりんかい線との分岐点であり、5・8番線は相鉄直通や湘南新宿ラインのほかにりんかい線直通(新木場発着)の列車も発着する。また、6・7番線には新木場方面の折り返し列車(+一部埼京線直通列車)も発着する。

特に南行5番線に埼京線の車両であるE233系が来た場合、新木場行き・海老名行きどちらであるかをよく確認する必要があるが、相鉄12000系であれば相鉄直通、東京臨海高速鉄道70-000形であればりんかい線直通の列車だと一目でわかる。

大崎駅5番線に停車中の相鉄12000系海老名行き(2020/1/3)

大崎駅5番線に停車中の相鉄12000系海老名行き(2020/1/3)

新宿始発の相鉄線直通列車は、帰宅ラッシュ時間帯でも概ね20時以降であれば新宿の時点では空席が目立つ車両も多い。しかし渋谷・恵比寿で着々と乗客を積み重ねて席が埋まっていき、大崎発車時点では立ち客が多く発生する。 

西大井駅

22時台に西大井駅で2本並ぶ相鉄12000系(2020/2/21)

22時台に西大井駅で2本並ぶ相鉄12000系(2020/2/21)

相鉄線直通列車の設定によって最も便利になった駅の1つが西大井である。特に新宿方面の列車は倍以上に増えたので大幅に利便性が向上した。またタイミング次第では相鉄直通&武蔵小杉で湘南新宿ライン快速(特快)乗り換えが西大井⇔横浜間の最速移動になることもある。

終電間際の湘南新宿ライン東海道線方面の快速(西大井通過)が多いこともあり、直通列車の設定によって新宿〜大崎→西大井の終電は50分も繰り下がった。また西大井→大崎〜新宿の初電も40分繰り上がっている。

武蔵小杉駅

武蔵小杉駅3番線に停車中の相鉄12000系海老名行き(2020/2/23)

武蔵小杉駅3番線に停車中の相鉄12000系海老名行き(2020/2/23)

新宿方面の列車が約1.5〜2倍となった武蔵小杉駅湘南新宿ラインの実質増発分として、特に夕ラッシュ時には多くの乗客(列車内の半数程度)が海老名行きの列車から降車する姿が見られる。

平日朝ラッシュ時の武蔵小杉駅に停車中の相鉄12000系新宿行き(2019/12/2)

平日朝ラッシュ時の武蔵小杉駅に停車中の相鉄12000系新宿行き(2019/12/2)
最後尾10号車は女性専用車である。なおこの写真は過去記事から再掲。

平日朝ラッシュ時間帯のホーム混雑が問題となっていたが、相鉄線からの直通列車が実質増発として設定され(品川・東京方面と対等な本数となり)、新宿方面行き乗客の列の滞留が抑えられた分だけホーム混雑が緩和した。この点は、結果的に相鉄直通開始の最大のメリットの一つとも言える。

上り通勤ラッシュの最ピーク時の直通列車は新宿をスルーし埼京線大宮方面に乗り入れており、それらの列車には全てE233系の車両が充てられている。逆に12000系が走る時間帯(武蔵小杉8:54〜)は混雑に余裕が出始める時間ということでもある。筆者の利用実感としては、武蔵小杉9時前後発車の12000系の新宿行きは、着席こそほぼできないものの直通運転開始前の同時間帯の湘南新宿ラインに比べると明らかに車内に余裕がある。8時前後の最ピーク時の新宿以北直通列車だと乗り切れない場合もあるようだ。

武蔵小杉駅4番線を発車する相鉄12000系新宿行き(2019/12/22)

武蔵小杉駅4番線を発車する相鉄12000系新宿行き(2019/12/22)

夜時間帯の上り新宿行きが武蔵小杉に到着する時点では、運転頻度が毎時3本もある割に、乗客は1車両に1〜数人程度ということも多い。帰宅需要のある下り列車への送り込みとして、また新宿付近では本数があるに越したことがないことや羽沢横浜国大駅のアクセス性を考えると営業列車として運転されるのは妥当ではあるが、いざその列車を見ると何とも言えない気持ち(乗りたいetc)になる。

羽沢横浜国大駅

羽沢横浜国大駅2番線に停車中の相鉄12000系新宿行き(2019/12/31)

羽沢横浜国大駅2番線に停車中の相鉄12000系新宿行き(2019/12/31)

新駅かつJRと相鉄の境界駅である羽沢横浜国大駅。全列車この駅で乗務員交代が行われ、また一部列車ではさらに数分以内程度の時間調整が発生する。また、原則12000系とE233系しか来ない駅でもある(ただしダイヤ乱れ時に他の相鉄車両が羽沢横浜国大まで乗り入れるケースは稀にあるらしい。)

開業時のダイヤでは両方面に1時間に2〜4本程度の本数であり、JR方面の終電は22時台と横浜市内の割には比較的早い。現時点で乗降客は少ないものの、少なくとも閑散時間帯でも各列車で乗降が確認できる程度には利用・認知されているように見える。今後、東急との直通開始等を経てさらに発展していく駅である。

まとめ

相鉄JR直通運転の開始に関しては様々な評価ができるが、特に今回紹介した区間内の移動に限れば、期待以上に成功している面が多いと言える。

今後、年度替わりでどれだけの通勤通学客が定期券ルートを切り替え、またどれほどの混雑になるかが、相鉄JR直通に対する評価ポイントの一つとも言えるだろう。

今回は相鉄JR直通列車の実態を合わせて書いてきたが、相鉄12000系の沿線での姿は別の形でも改めて記事にしたいと思う。