251系・スーパービュー踊り子号の引退が迫っている。251系には直近に限らず何度も乗車しているが、中でも個人的に突出してお世話になったのは「スーパービュー踊り子10号」という列車である。大きく分けて「伊豆方面からの帰宅」「都心で見る(稀に短区間乗車する)」という2つの意味で親しみがあった。
伊豆急下田発が16時過ぎという日帰り・宿泊いずれからも使いやすい時刻設定が特徴であった。そして特に上りでは貴重な新宿方面に向かう列車であり、通常時は池袋行き、土休日(近年は多客期のみ)には大宮まで延長運転されていた。
細かい時刻は変化しているが、13年前の2007年3月改正から「スーパービュー踊り子10号」として運転されていた。さらにその前は「スーパービュー踊り子52号」「スーパービュー踊り子76号」などとして、ほぼ同時刻に新宿方面への列車が毎日あるいは比較的高頻度で運転されていた。
近年の多客時には、伊豆急下田駅でマリンエクスプレス踊り子号との並びを見ることができた。(土休日の場合)マリンエクスプレス踊り子号が伊豆急下田駅2番線で折り返す間に、1番線にスーパービュー踊り子7号が到着し、スーパービュー踊り子10号として折り返していく。
なおマリンエクスプレス踊り子号の方も、ダイヤ改正後の臨時列車としての設定が今のところ無く、また現在のダイヤもサフィール踊り子号に上書きされるため、伊豆方面からは引退するものと思われる。
進行方向右側の窓からは、相模湾を見渡せる。スーパービュー踊り子10号の場合、日没が比較的早い時期であれば(太陽自体は逆方向だが)、伊豆半島内あるいは根府川駅付近などで夕暮れで美しい海の景色を見ることができた。
スーパービュー踊り子10号は湘南新宿ライン同様、戸塚駅から横須賀線の線路に転線し、横浜駅は横須賀線10番ホームに入線する。
踊り子号が横浜駅の横須賀線ホームに停車するケースは珍しく、新宿方面発の下り(スーパービュー)踊り子号は近年は横浜駅の時点で東海道線の6番線ホームに入線するケースが多いようだ。
2010年3月13日に開業した横須賀線武蔵小杉駅には、原則としてライナー以外のすべての列車が停まるようになった*1。スーパービュー踊り子10号も開業と同時に追加停車となり、武蔵小杉に18:35〜36頃に到着していた。横浜や新宿ほど大量では無いにせよ、武蔵小杉駅で下車する乗客も一定数はいたように思える。
なお横浜・武蔵小杉の時点では、スーパービュー踊り子10号の次に成田エクスプレスが走るという、特急が連続するダイヤであった。下りのスーパービュー踊り子3号の直後にも成田エクスプレスが走るダイヤとなっていた。
武蔵小杉駅新南口改札の発車標では、新宿方面の列車であるにもかかわらず、何故か横須賀線の列車として分類されている。なお成田エクスプレスと連続のため次の横須賀線普通列車が見えなくなっているが、現在のダイヤだと18:49成田空港行きである。
新宿駅では、特急専用ホームである5・6番ホーム(5番線)に到着する。終点では無いので全ての車両のドアが開くわけではなく、その割に降車客が多いのもあってか、停車時間が2〜3分設けられていた。
平日は基本的に池袋止まりであった。帰宅ラッシュ時間帯の埼京線や湘南新宿ラインが走る過密なダイヤを縫って、多くの通勤客が並ぶ池袋駅3・4番ホーム(3番線)に到着する。
なおスーパービュー踊り子10号は、3/13の最終運転日に最後まで運転している「スーパービュー踊り子」号にあたり、ラストラン列車とも言える。特急としての営業運転最後の瞬間は、通勤ラッシュの真っ只中のこの池袋駅ということになる。
多客期には大宮まで運転が行われていた。池袋を出ると、赤羽、浦和(湘南新宿ライン専用のホーム開設以降)、そして終点大宮の順に停車していた。
伊豆急下田から終点大宮までは約3時間半。熱海からでも2時間以上という長い道のりであった。
なおスーパービュー踊り子10号が走っていたのとほぼ同じ時間帯に、ダイヤ改正後もE257系充当の踊り子18号が走ることになっている。2階建て車両や展望席、グリーン車の各種サービスが無くなりグリーン車自体も1両減るが、今までとほぼ同じ車窓を見られる上、さらにコンセント付き・自由席2両連結・B特急料金(実質値下げ)で乗車することができ、新たに渋谷駅にも停車するようになる。スーパービューほどの特別感は無くなるかもしれないが、観点次第ではより便利な列車として引き継がれていくことになる。